コラム 2025.10.24

『凪のお暇』コナリミサト＆武田真治の特別対談！今だから語れるドラマと原作裏話【スナックバブル in B&B関連トーク】

8月30日（土）、下北沢の書店「B&B」で『凪のお暇』完結を記念したトークショー「スナックバブル in B&B」が行われました。イベントが始まる前に行われた、原作者のコナリミサトさんと、ドラマでスナックバブルのママ・中禅寺森蔵を演じた武田真治さんとの対談の様子を収録。ファンなら気になる、あの名シーンが生まれた裏話が飛び出しました。

『凪のお暇』コナリミサト＆武田真治の特別対談！今だから語れるドラマと原作裏話＆中田クルミインタビュー【スナックバブルin B&B関連トーク】

ドラマに爪痕を残そうとして、タンクトップに

武田真治（以下、武田）：『凪のお暇』完結、おめでとうございます。お疲れ様でした。ドラマの『凪のお暇』が終わってからもう6年ですか、早いですね。先生は、ママ役が僕だと決まったと聞いたとき、正直どう思いましたか？　ドキドキするけど聞かせてください。

コナリミサト（以下、コナリ）：初代担当編集さんと、LINEでめっちゃ盛り上がりました。「その手があったか！」と大喜びしたのを覚えています。

武田：最初、ママ役のお話をいただいたときはまだ、キャラクターを決めきれてなかったのか、だいぶおとなしい抑えめのビジュアルだったんですよ。最初はシャツを着てましたしね。それが回を重ねるごとにどんどんはじけていった（笑）。だから最初の方は「僕はこのドラマの役にたてているのかな？」って、不安が混じった気持ちだったことをよく覚えています。

コナリ：そうだったんですね。毎週、武田さん演じるママの服装を楽しみにしてました。タイムラインも盛り上がってましたよ！

武田：先生が先ほど「その手があったか！」と言ってくださいましたが、ママを男性に設定するなんて、ドラマ版スタッフは大胆な判断をしましたよね。慎二が気持ちを吐露する対象であるママが女性だと、ドラマの制作意図とは違って三角関係ならぬ四角関係を想像させちゃってややこしくなってしまうのでは、という思いからだったみたいです。「歳の差なんて超えてしまえ！」みたいな声援もいただいてしまうかもしれませんから。

コナリ：なるほど。今、改めてそういった裏話が聞けて嬉しいです。衣装はご自身で決めていらっしゃったとか？

武田：このドラマになんとか爪痕を残そうと必死で、勝手にタンクトップなったり（笑）。ちょうどドラマの一年くらい前に、僕が「筋肉体操」で注目をしてもらったこともあり、自分が持っているものは全部出しちゃおう！と。どれもが正しかったとはいえませんが、視聴者の方々にここまで愛してもらった役は初めてなので、とにかく嬉しいに尽きますね。素晴らしい経験をありがとうございます。

名シーンが生まれたきっかけは、アドリブだった!?

武田：今回、改めてコミック『凪のお暇』を読み返してみて気づいたのが、無駄なエピソードが一切ないということ。お見事ですね。連載が終了するずっと前にドラマが終わったので、凪や慎二たちにはもっと先の物語がある。「ここをこう膨らませていったんだ」とか、思いながら読むのはとても楽しかったです。

コナリ：ありがとうございます。演じていて一番印象に残っているエピソードはありますか？

武田：キャッチボールのくだりですかね。「上手に会話のキャッチボールができるようになりたくて。せめて投げてもらったボールを変な方向に飛ばさないように」と話す凪に、と、ママは「なんで相手に会話のボールを投げてもらう前提なの？　何様？」とママが言うところ。

コナリ：私も大好きなシーンです。今日のイベントのためにこのシーンを描いてきました。イベントのアーカイブ映像や、月刊エレガンスイブにイラストが掲載されるので、ぜひ観てもらえたら嬉しいです。凪の顎を親指と人差し指で引き寄せて「アンタが相手に興味ないからよ」と言うくだりは最高でした。

『凪のお暇』コナリミサト＆武田真治の特別対談！今だから語れるドラマと原作裏話【スナックバブルin B&B関連トーク】

▼イベントにあわせてコナリ先生に描き下ろしをたくさんいただきました！（月刊エレガンスイブ26年1月号にも掲載！）
詳しくは凪のお暇公式Xをご覧ください。

武田：華ちゃん（ドラマで凪を演じた、黒木華さん）の顔を触るのはアドリブというか、事前に相談していなかったんです。テストのときに試しにやってみたら、スタッフさんたちからなんのリアクションもなくて……。「主演女優さんに顔に触るなんてまずいことしちゃったかな」と思って、本番ではやらなかったんです。そしたら、台湾出身のスタッフが「なぜ、ちょんちょんってやつやらないの？あれがよかったのに！必要だよ！」って言ってくれて。それで撮り直したこともあって、とても印象に残っています。

コナリ：うん、あの演技と二人の雰囲気がとてもよかったと思います。映像の力を感じました。私も、ママが凪に言ったこのセリフに似たようなことを実際に言われたことがあって。ずっと心に残っていたものだったので、漫画で描けて、さらにはドラマでもとても素晴らしいシーンにしてもらえて嬉しかったです。