ハードコア犬占い【2月16日～2月28日の運勢は？】

イラスト：うかうか

おひつじ座

賑やかなのはいいよな。おじいちゃん、おばあちゃん、親戚にクラスメイト。皆んながいる。皆んなの中にそれぞれの皆んながいる。知らない人もいる。出たり入ったりして、お餅やキムチを食べたりしている。音楽が流れている。ラテンジャズとかピンクフロイドとかだ。でたらめで、ごちゃまぜで、皆んながいる。賑やかだ。誰にもコントロールできない。ちょっとうるさいな、とか、何この人、とかもある。賑やかなのに疲れたら、一人になれる場所があるといいな。タバコ吸いにいったり、一人でマンガ読んだりな。空間だ。隙間だ。隙間を腹いっぱいに吸い込んだら、またパーティ会場にいこうぜ。フライドチキンと、スパゲティ！ 皆んなでたらめに踊ってる。おまえもでたらめに踊れよ。でたらめなおまえは、おまえじゃない。誰でもない誰かだ。最高だ。おれもおまえも、誰でもない。おれたちはディスコライトだ。何も持っていないし、何も約束しない。それがパーティだ。何者でもないことを恐れるな。楽しめ。

ラッキーコア：一駅歩く

おうし座

やる気はだすものではない。でるものだ。おれたちにできるのは、いつやる気がでてもいい姿勢を保ち、ちょっとでも「あ、これやる気…かな？」と感じた瞬間を逃さない、ということだ。あと「もうやる気でたことにする」「やる気あるふりをする」などだ。これらは全て複雑に絡み合っていて、正解とか間違いとかはない。やるとかやらないとかも、どうでもいい。おれたちは本当は、何も「やって」いない。ただ単に、宇宙が、そのように「なって」いるだけだ。おまえはただ、宇宙がそのように「なる」ことを、許可することだけができる。やる気がでないというのは、許可したくない、てことだ。許可しろ。おまえの未来に許可をだせ。「それでよろしく」と言うんだ。その時おまえは、やる気がでる。だって、しょうがないからな。許可しちゃったんだから。あとの祭りだ。祭り、好きだろ？ おまえが許可を出せば、「あとの祭り」が始まる。笛、太鼓、おかしなメガネを用意して、祭りに備えろ。

ラッキーコア：DJの練習

ふたご座

ピンポイントだ。細い先っぽを想像しろ。その先っぽは無限に細い。原子1個分の細さの先っぽを想像したら、そこから先は光だ。光子1個分の細さを想像しろ。それはもう細さとか超えている。むしろ丸く、広がっている。じわっとしているんだ。凄いな。こんな先っぽに、こんな無限の空間が広がっていたなんて！よし、そこでくつろごう。なにか音楽をかけたらどうだ。ヨーデルがいいだろう。あれは広い牧場で遠くまで聴こえる歌唱法だからだ。ヨロレイヒ〜♪ ラグマットを敷いて、マグカップにホットチョコレートを注ぐんだ。落ち着くだろう。いつでもどこでも、おまえはこの光より細く広いさきっぽのリビングで、くつろぐことができる。できねーよ、とか言うな。練習しろ。なぜなら、このリビングにいるときにだけ、気づけることがあるからだ。小さい音。微かな揺れ。誰かがおまえに伝えようとしているなにか。充分にリラックスしていれば、それに気づく。先っぽ、リラックス、気づき、それらが全部揃った時、それは思い出し笑いになる。ピンポイントだ。

ラッキーコア：ディジュリドゥ

かに座

いろんなことがあるな。いろんなことがあり過ぎて、どれも憶えていない。なんかいろんなことがあったな、ということしか憶えられない。つまり「いろんなこと」しか、存在していない。シュークリームみたいだな。ふわっとしている。シューの中では、甘くて重いカスタードクリームが、白くて明るいホイップクリームと絡み合っている。おまえはその味を、想像することができる。「いろんなこと」の味だ。シューを二つに割ってみろ。二種類のクリームがとろっとこぼれる。おっと危ない！指先で掬って、ぺろっといけ。それは記憶だ。思い出す、てことは、カスタードとホイップのとろっとしたのを、ぺろっといくようなものだ。お行儀が悪い？ 誰もみてなければ、いいんじゃないか。ぺろぺろだ。でもずっとぺろぺろしててもあれだから、いいところでシューをまたくっつけろ。元通りになった「いろんなこと」のシュークリームを、ポケットにいれろ。空を見上げて、日差しや風、雲や星がどんな具合か、確認するんだ。「いろんなこと」ってのは、つまりそれだ。

ラッキーコア：コピ・ルアク

しし座

自分が登場する時の音を持っているか。ジャジャーン！とかテロレロリン！とか。まぁ時と場合によっていろいろだろうが、それでもおまえらしい登場の音、てのがある。おまえが登場する時に、そこにいる皆んなの心のなかに、それが鳴っている。仲がいいと、まずその音が聴こえて、それからおまえが現れたりもする。ジングルってやつだな。そこにいる皆んなの心のなかで鳴っているおまえのジングルを、おまえは心を研ぎ澄ませれば聴くことができる。おまえ自身も心の中で音を鳴らすことで、それをミックスすることができる。こんど登場する時、なにか音を鳴らしてみろ。心の中で、だ。キュピーン！ ヴィシュアァ… ドゥーン？なんでもいいぞ。登場と同時に鳴らすのがコツだ。ミュージシャンシップが必要だ。いいとか悪いとかはない。でも体調や機嫌はなんとなくバレたりする。ジングル用の楽器を一つ、心の中に持っていてもいいな。それを鳴らせ。いつでもだ。おまえは常に登場し続けている。

ラッキーコア：効果音フリー素材

おとめ座

自己流のおもしろヨガポーズを決めている時、家族が部屋に入ってくる。慌てるな。ゆっくりと深い呼吸を続けるんだ。スー、ハー。そうだ。続けろ。スー、ハー。呼吸はどんどん静かになる。まなざしを感じる。家族は、無言でおまえを見つめている。それは一種の共感だ。おまえも家族も、何も言わない。鎮まった呼吸のなかで、共感は共鳴になる。ずいぶん時間が過ぎた気がする。重くクリアな永遠だ。ゆっくりと、おもしろヨガポーズを解け。右手、左手、右足、左足…順番に、ゆっくりと、何百年もかけるように、普段の姿勢に戻るんだ。立ち上がり、軽くトントンして、振り返れ。なにか用事がある筈だ。家族はそれを知らせに来たのだろう。郵便局かスーパーに行って貰いたいのかも知れない。素早く素っ気なく、快諾しろ。聴こえるか聴こえないかくらいの声で「ナマステ」と呟いてもいい。おとめ座の支配星水星がいい具合にあれする23日以降、それがおまえの新しい雰囲気だ。ナンを焼いてみろ。

ラッキーコア：ナン

てんびん座

おまえの想像する、最もラッキーな星占いってどんな感じだ？ 「今週はすべてが最高にうまくいきます。いらないって言ってるのにお金がもらえます。モテモテのバキバキです。」とか。まぁそういう星占いは、あんまりない。おれはこういう仕事をしているから言うが、実はホロスコープ図をみているとごく稀にだが、そういう時ってのはあるんだ。でも普通占い師は、それをそのまま書くことはない。なんでだろうな？ 「最高ですよ」と書いてそうでもなかった時より「まぁまぁです」と書いて割と最高だった時のほうが、占い師の印象はよくなるからだ。あとまぁ「最高です」てうかつに書くと調子にのるやつもいるからな。つまり、星占いに「最高です」と書いてない時、ホロスコープ図では凄まじい幸運大爆発が描かれている可能性は、ゼロではない。特にそういう訳でもないこともある。とにかく、幸運はいつも秘密だ。ジャッジするな。確信しろ。

ラッキーコア：カセットテープ

さそり座

合ってる。何をどうしたって、だいたい合ってる。超てきとうに答えても、なんとなく合ってたりする。不思議だが、不思議じゃない。わかってるからだ。何がどうとは説明できないが、わかってるんだから合ってる。間違えるほうが難しい。こういうのは、コツを掴めば意外と簡単だ。難しそう、て思わないのが重要だ。難しく考えるとわからなくなり、わからないから合わない。簡単だと思え。当たり前なんだ、と。考えず、理由なく、ただそうだからそうなんだと、言ったりやったりしてみろ。細かいところは多少ズレててもいいが、愛嬌は大切だ。偉そうに言うと反感を買う。「だってそうだから、そうなんだよ。」というセリフを、いろんな可愛らしさで言う練習をしろ。だんだん、おまえは余計なことを言わなくなる。本当にわかっていて合ってることだけを、愛らしく言えるようになるだろう。簡単だ。やってみろ。

ラッキーコア：受け入れ体勢

いて座

時間てのは不思議だ。おれたちは過去と未来のある時点を「何年何月何日の何時何分」とか指し示すが、その瞬間が来たら、それは全て「いま」なんだ。「いま」しかない。いつどの時点で「いま何時だろう？」と思っても、時計をみるまでもなく「いま」だ。よく考えたら自分で「”いま”何時」つってるしな。この自分てやつも不思議だ。いま地球には78億人くらいの人間がいるが、そいつら全て「わたし」なんだぜ？ 誰に「あなたは誰ですか？」と訊いても「わたしです」と答える。ヤバい。もっと考えると、全ての過去、全てのあり得る未来に存在する人間も「わたし」だ。犬や猫、もしかしたら花や星も、なんとなく「わたし」だろう。凄いことに気がついてしまったな。ここは「いま」「わたし」しかいない惑星だ。何もしなければ、すぐに退屈するだろう。じゃ、いろんな「わたし」で集まってパーティを「いま」やったりやらなかったりしようぜ。メリハリだ。

ラッキーコア：人通り

やぎ座

星占いの途中だが聞いてくれ。いま買い物に出たら、上品な雰囲気の中年女性が、少し重心を下げた姿勢で、ゆっくり歩いてたんだ。なんとなく気になって見ると、彼女は目を瞑っていて、口角は微かに上がっていた。おれはすぐに理解した。彼女は「目を瞑ってまっすぐ歩く遊び」をしていたんだ。おれもよくやるから「仲間がいた！」とドキドキした。声をかけようかと思ったがそれはやめて、代わりに彼女の独特の姿勢、能のような、微かに重心を下げた姿勢を、おれも試してみたんだ。するとわかったぜ。おれは秘密を学んだ。彼女は達人、マスターだ。何気ない日常の一コマに、そういうミラクルが潜んでいる。さておき、スーパーで買い物を済ませて再び道に出ると、さっきの彼女が進行方向を変えて、買い物袋を持って、目を瞑って、歩いていたんだ。おれはこの街が少し好きになったが、割と交通量のある道なのでそれだけ少し心配した。嘘みたいだが本当の話だ。

ラッキーコア：目を瞑ってまっすぐ歩く

みずがめ座

雲美術館を知っているか。空にはだいたい雲があるだろ。あれは美術館だ。いつ見上げても違う展示をやっていて、しかも入場無料だからお得だ。やぎ座のところでも書いたが、さっき買い物に出た時に見上げたら「象 Elephants – 夢、神話、歴史」という展示をやっていた。結構見応えがあったぜ。心理学者は「雲に無意識が投影され、それが見えるのだ」とか、わかったようなことを言う。おれの考えは少し違う。おれたちの無意識が、雲を実際に造形しているんだ。おまえはどう思う？ まぁ雲美術館ファンとしては、どっちでもいいことだ。17日にみずがめ座で土星と太陽が重なる時、たぶん特別展示が開催されるはずだ。観ようぜ。それぞれ観に行って、どんな展示だったか報告しあってもいいし、皆んな一緒に観にいってもいい。楽しみだな。

ラッキーコア：トマトでこさえたなにか

うお座

せーの、ていうのがあるな。何がって、星がだ。太陽と月が、せーのでうお座に入って直後、重なってポーズを決めて「新月！」と言う。まぁ新月と満月は約2週間ごとにいつも起こっているし、科学的に言えば星は喋ったりしない。「新月！」と言ってるのは人間のほうだ。言う言わないは人それぞれだが、言うなら2/20月曜日の16:00頃だ。あたかも微細な重力分布を感知して、正確に新月のタイミングを知覚しているかのように、アンニュイに「新月…」と呟いてみろ。カフェで偶然、隣のテーブルに座った星占い師がびっくりしてステーン！と席から転げ落ちたら面白いな。いたずらだ。まぁ星占い師がステーンと転げ落ちなくても、新月のタイミングを「新月…」と教えられるのは、なんとなく嬉しいし、得した気分だ。あの巨大な石のかたまりと、あの巨大な火の玉が、ちょうど同じ目盛りで重なる。月は視えないが、なにかとてつもなく大きくて、美しいことが起きているのは確かだ。それがうお座で起こる。人類にお知らせしろ。

ラッキーコア：ペンデュラム