『木曜日のシェフレラ通信 うこぎんの相談室』杉田真也 スクールカウンセラーによる子どもの心と向き合うコラム
第15回 性の多様性② 自分の子どもがLGBTだと気づいたら
エレガンスイブで連載中! Souffleでも公開中のマンガ「木曜日のシェフレラ スクールカウンセラー五加木純架」がもっとよく分かる。臨床心理士、公認心理師の杉田真也さんによるコラム連載です。
前回に引き続き、性の多様性についてお伝えしていきます。(前回のコラムはこちら)
まずは前回の振り返りをしていきましょう。
“ジェンダーマイノリティ(性的少数者)を指す言葉として、LGBT(他にもLGBTQやLGBTQ+)といった用語が使われています。L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシュアル)は性的指向(どんな性別の人を好きになるか)を表し、T(トランスジェンダー)は生物学的な性別と性自認が一致していないことを指しています。もちろん、全てのジェンダーマイノリティの方がどれかに当てはまるのではなく、全ての人に異なる性への感じ方があります。無自覚にジェンダーマイノリティの方を傷つけてしまわぬよう、性の多様性についての知識を得ていくことがとても重要です。”
このような内容を、前回のコラムでお伝えしましたね。今回は、そのようなジェンダーマイノリティである子どもとの関わり方について考えていきたいと思います。
小学生のトランスジェンダー
小学生のうちは、LGBTの中でもT(トランスジェンダー)が比較的気づかれやすいように思います。低学年であっても、(生物学的に)女の子が「女の子っぽい、かわいい服を着たくない」などと訴えて、保護者が心配して学校に相談に来るといった例もあります。高学年ともなると、着替えやトイレなどについての違和感や苦痛を感じることがあります。
このような場合、保護者はどのように対応してよいのか非常に悩むところです。しかし、この段階ではあまり「この子はトランスジェンダーである」と決めつける必要はないと思います。むしろ、本人が訴えてきている困りごとを、1つ1つ解決できるようにすることが大切です。もちろん、心構えのために知識を得ることは必要ですし、保護者が専門家に相談してみることもよいですが、無理に子どもに変化を促す必要はありません。今、悩んでいることに目を向けてあげてください。
子どもが打ち明けてくれたら
実際には、自分の子どもがジェンダーマイノリティであるとは気づかないことが多いです。加えて、子どもが思春期を迎え、自分自身の性自認や性的指向を自覚し始めたとき、「親にだけは言えない」と思っていることもしばしばあります。いつも一緒にいる親だからこそ、どんな反応をされるのかが子どもにとっては怖いのです。
そんな中、もし子どもがジェンダーマイノリティであることを打ち明けてくれたときは、まずは遮らずに話をしっかりと聴いてあげてください。否定をしないことです。そして、話してくれたことをねぎらってあげてください。ジェンダーマイノリティであることは、何もおかしいことではありません。子どもが望んでいないのに、勝手にあれこれ支援をしようとすることも控えましょう。もし本人が具体的に困っていることを話してくれたら、そのときに一緒に解決策を考えたらよいのです。解決したいことのために協力者が必要な場合には、誰に伝えてもよいか、本人に必ず許可をとりましょう。
子どもの性自認や性的指向は、成長の過程で変わることもあれば、変わらないこともあります。どちらにせよ、大切なのは「男らしく」「女らしく」ではなく、「自分らしく」生きられるかどうかです。そして、そのためには親や家族が「その子らしさ」として受け入れられることが必要です。もし家族だけで抱えることが難しければ、専門機関やスクールカウンセラーに相談をしてみることが役に立つかもしれません。
参考文献
遠藤まめた「先生と親のためのLGBTガイド」 (2016年、合同出版)
西野明樹「子どもの性同一性障害に向き合う~成長を見守り支えるための本~」(2018年、日東書院本社)
次回は7月25日更新です。
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