前回、メディアへの顔出し、特に子どもに関しては慎重になった方が良いという話をしたが、そもそも何故不特定多数が見る場に顔を出さない方が良いのだろうか。
まず、単純にその写真を何らかの不正な行為に利用される危険性がある。
裸の写真とかでなければ大丈夫と思っているのかもしれないが、それは世界の広さの見積もりが甘い。
子育てアカウントの間では、「オムツ写真をSNSなどに上げるな」という暗黙のルールがあるらしい。
これは「オムツ姿の子どもの写真を上げるな」という意味ではない、そんなのは当たり前だ。
載せてはいけないのは「オムツ姿の子どもの子ども抜き」も同様、つまり未使用のオムツ単体であろうとも、好事家から見ればコレクション対象の可能性があるので不用意に載せるなということである。
このように、どんな魔物が潜んでいるかわからないアレフガルドに親自ら我が子の顔を放流するのは、子を守る立場としては意識が低いということだ。
また顔を出したことにより、「この子に会いに行かなくちゃ」という不退転の決意を抱く者がゼロとは限らないし、何故かそういうタイプは特定能力に優れていたりもする。
つまり、顔を出すことにより少なからず犯罪遭遇率が上がってしまうので、少しでも子どもに安全でいてもらいたいなら、出さないにこしたことはない。
ただ、SNSで見かけた一般人を会いに行けるアイドルだと思い込んで参上してしまうアグレッシブな人間は少数派である。
ネットに顔を出す=身の危険、というわけではない。
しかし顔を出したことで、それを見た大勢の人間から不躾な「見た目ジャッジ」を受けることは避けられない。
いくらルッキズムは良くないという風潮が強くなろうとも、人間は判断のほとんどを視覚に頼っているため、人間を見ればその見た目に何らかの感想を抱いてしまうし、それは格好の攻撃対象になりがちだ。
以前、他の漫画家に「一番傷つく批判は何か」と聞いたところ、「『ブス』かな」という答えが返ってきた。
もはや漫画家であることと全く関係ないが、関係ないからこそ傷つくともいえる。
つまり容姿ジャッジは最も簡単にできて、最も深く相手を傷つけることができる行為ということだ。
確かに、中年の私でも面と向かって「ZOOM会議だからってその顔はなくない?」などと言われたらショックである。
若ければもっとショックを受けて一生消えないトラウマになる恐れがある。
ちなみに、見た目がかわいければOKというわけではない。実際に自撮りを上げている人は容姿が良い人が多いのだが、それですら「自分がかわいいとわかった上でやってるのが腹が立つ」という理由で叩かれているし、背景のゆがみから加工を暴かれたりもしている。
もはやネットにおいて顔は「急所」と言ってもよい。晒す時は心臓を手に持って歩くぐらいの覚悟を持ってやるべきだし、当然他人の心臓を勝手に持ち出してはいけない。
次回は10月8日更新です。
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