起き抜けに「もうすぐブロック機能が変わります」というポップを見せられたあの日、久しぶりにXから大量離脱者が出たようで、トレンドには移住先であるブルースカイやタイッツー、そして俺たちのミクシィなどが並んでいた。
私ほどの面構えになると「どうせ俺はXに居続けるし、お前らもXに居る」という確信があったので、「いざという時の避難先です」といって取るだけ取ったブルスカのアカウントを貼り付けることもなかった。
そして数週間経った今、予想通り、俺もお前らも結局Xに居るという悲しい結果に終わっているのだが、Xからの大量離脱が出たのは、ブロック機能の改悪が原因ではなく、AIに関する規約が変わるため、クリエイターが一斉に離れたせいではないかと言われている。
どうやら、規定変更後、お前らがXに投稿した画像類は、もれなくXのAIの学習元になることを承諾したものとする、ということになるらしい。
つまり、我々が長時間かけて一生懸命描いたイラストなどが、AIが秒で絵を描くための無料餌になってしまうかもしれないということである。
よって、冗談ではない、というクリエイターがXを離れ、今までXに投稿していた作品も撤去するという動きが起こったようだ。
正直、XのAIがそれで何をするかは謎である。Xには誰が一体何のために作ったのかわからないオーパーツがいくつも残されている、世界一ミステリアスなSNSなのだ。
しかし自分が作ったものを、無断かつタダで使われて気分が良い人間はいないし、特にそれで飯を食っているクリエイターにとっては見逃せない事態である。
俺たちが一生懸命、手で描いていたものをAIが一瞬で描くなんてズルいというのは、食洗器を許さない老害と同じだが、その食洗器が老から強奪した金で買ったものだというなら、老にも怒る権利がある。
これをタダでこんなドブ川に流していいんですか? という作品が流れてくることがあるのがXの良いところであった。
だが今後は、Xは使うけど作品は流さない、もしくは食ったAIが腹を壊すように巻きグソの絵しか投稿しないというクリエイターが増え、ますます下水みが増してくることが予想される。
私も一応商業作家の端くれだが、私がXに投稿するのは、基本的にペイントで描かれた巻きグソ寄りのイラストしかないので、今のところ別に食われてもいいやの精神でXを使い続ける予定である。
むしろ、人様の絵を食って成長したAIに私の絵を食わすことにより、後退させることができるかもしれない。
AIを胃の中から攻撃する、X界のアニサキスとしてこれからもX上で発信を続けていきたいと思う。
次回は11月19日更新です。
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