『ムーちゃん通信』赤沼美里 発達障害と自閉症がもっと身近になるコラム!
ムーちゃん通信#6「ムーちゃんは療育施設で何しているの?」
発達障害のある子は、耳より目から入ってくる情報を受け取るのが得意なんです。障害のある子たちのためにどのような工夫をしているのか、療育施設での取り組みをご紹介します!
構造化:見えるようにするとわかりやすい
ムーちゃんの参加している療育施設では、その日の療育スケジュールを表にして壁に貼ってありました。これは子どもの特性に合わせて、生活する環境をわかりやすく整える「構造化」と呼ばれる支援方法です。
発達に偏りのある子の多くは、耳から入ってくる情報よりも目から得られる情報を受け取るのが得意です。また見通しが立たないと不安を覚える子もいるため、表で予定を見せることで安心して活動に取り組んでもらいます。
【構造化すると…】
・周りの状況を把握しやすくなる
・自分でできることを増やせる
・「できた!」が増えて自己肯定感が高まる
・集中しやすくなる
【構造化の例】
・おもちゃを片付ける箱に、おもちゃの写真を貼る
・イラストや文字を使って作業手順を見せる
・パーティションで区切り、活動する場所をわかりやすく示す など
感覚統合療法:遊びながら感覚を刺激する
ムーちゃんの療育施設では、感覚統合療法とよばれる療育方法が取り入れられています。感覚統合とは、外から受け取った感覚刺激を脳がうまく処理できていることをいいます。発達障害のある子の困りごとの多くは、この感覚統合がうまく働いていないからではないかとも考えられています。
【感覚統合がうまくいかないと…】
(例)落ち着きがない
・感覚刺激の処理が過剰→まわりの情報に反応してソワソワする
・感覚刺激の処理が不足→足りない感覚を補うために、歩きまわる・体をゆする
【感覚統合に重要な3つの感覚】
感覚統合に重要なのは「触覚」「固有覚」「前庭覚」の3つの感覚です。
触覚:皮膚に触れた・触れられたときに感じる感覚
固有覚:筋肉や関節に感じる感覚。力の入れ方や体の位置を確認するために使う
前庭覚:平衡感覚のこと。姿勢を保つ、動きの速さを理解するために使う
【ムーちゃんの感覚統合プログラム】
小豆遊びは、触覚を刺激する感覚遊びです。サーキット運動では、走ったりマットの上を回転したり平均台を渡ったりすることで、感覚を刺激させ「固有覚」や「前庭覚」の統合を促しています。
ムーちゃんからひとこと |
【参考文献】
・木村順/著『育てにくい子にはわけがある−感覚統合が教えてくれたもの』(2006、大月書店)
・佐藤和美・豊島真弓/著『感覚統合の視点1 子どもの苦手をおぎなう支援』(2013、かもがわ出版)
・田中哲、藤原里美/監修『発達障害のある子を理解して育てる本』(2015、学研プラス)
・東京小児療育病院 医療スタッフ/著、赤星惠子/監修『東京小児療育病院の発達障害外来にみる発達障害の理解と治療・支援』(2015、東京小児療育病院)
次回は7月30日更新です。
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