SNSで誹謗中傷にあったらどうする?|カレー沢薫 | Souffle(スーフル)
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コラム 2019.10.01

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#49 SNSで誹謗中傷にあったら

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

ある日、誹謗中傷ばかりするアカウントを見つけてしまいました。気になって追いかけてみた結果…。

ほがらかSNSライフ担当から「誹謗中傷アカを見てぐったりしています」というメールを見て爆笑してしまった。

そりゃそうだろうよ、としか言いようがない、それとも娘を人質に「誹謗中傷アカを追え」と脅されているのだろうか。

そもそも「誹謗中傷アカ」が何なのかわからないが、私のプロファイリングによると何かを誹謗中傷しているのだろう。

しかしそれを確かめる気にもならない、おそらく私もぐったりするからだ。

ツイッターはガンジス川である、ウンコや死体が流れてくること自体に文句を言っても仕方がない。

だがずっと、死体ウンコ死体ウンコ死体ウンコからの死体と思わせてトリプルウンコみたいなのを見続けていたら気が滅入ってしまう。

よって民は、目の前を流れる、ウンコや死体はミュートやブロックして、夕日だけ眺めるなど自衛しながら、ツイッターと共存しているのだ。

だが、逆に担当のように、死体やウンコから目をそらさないばかりか、わざわざ見に行ってしまうことがある。

なぜなら「悪口」は文字通り悪いことだが、人間の娯楽の一つであることは否めないからだ。

会社でも共通敵の悪口を言っている時が一番グルーブが高まっているし、誰かの悪口が始まると私の体も30センチは前に出る。

しかし、ネットで他人の悪口を言うのはリスクのあることだ。

最悪、訴訟や逮捕まであるし、誰かを攻撃すれば当然反撃される恐れがある。

よって、例えば芸能人などで「こいつどうなん?」と思う人間がいたら、ネットその芸能人の悪口や悪評を探して「完全に同意」「わかる」「それな」とやることで、満足するという、とても自己紹介では言えない趣味を持っている人は結構いるのではないだろうか。

つまり安全なところで、「そーだ!そーだ!」と心の中で煽っている野次馬なのだが、実はそこは「安全な場所」というわけではない。

「そこから動けなくなる」のである。

悪口というのは、見はじめたら止まらないし「もっとヒドイことを言っている奴はいないか」とさらに刺激の強い物を求めるようになる。

よって気づいたら、他人が他人の悪口を言っているのを見て丸一日経ってしまっているのだ。

そして担当が「ぐったり」と言っていたように、最初はスカっと出来ていたのに最終的に「疲れている」のである。

怒りというのは喜怒哀楽の中でも最も疲れる感情である、他人の怒りも同様で、いくら自分に無関係のものでも、ずっと見ていれば疲れるのだ。

さらに「誹謗中傷」というのは大体汚い言葉が使われている。「はるはあけぼの」みたいな言葉は滅多に使われない。

汚いものを、延々見たり聞いたりすれば、疲れるのは当然である。

つまり誹謗中傷鑑賞というのは「他人が他人にウンコを投げているショー」を安全な場所で楽しんでいるようで、実は「流れウンコ」に被弾しまくっており、気がついたら時間を浪費し、全身ウンコまみれになっているのだ。

ネガティブなストレス解消法は確かに効くのだが、常用するとやめられなくなるし、結局自分の心を蝕みだす。

やるなとは言えないが「ちょっと覗いたらサクっと切り上げる」ことをお勧めする。

次回は10月8日更新です。

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OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。しかし、唯一無二の居場所のSNSには炎上、マウンティング、キラキラ女子など、闇も広がっているのです。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方コラム。

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