#363 専用のジレンマ

最新話更新！

『ほがらかSNSライフ』 Xがイーロンの手に堕ちてから新天地を探し続けてはいるものの、Xの代わりというのは人口密度120％超えの広大なドブ川を探しているようなものなので、なかなか見つからない。

人がいてこそのＳＮＳであり、人を呼ぶためには入り口は広くするべきなのだが、それでは既存の大手ＳＮＳを使っていればいいという話になってしまう。

よって、「18禁イラスト投稿推奨ＳＮＳ」や「既婚者専用マッチングアプリ」など、目的自体を有刺鉄線状にして入る人間を選んでいるコミュニティサイトも生まれている。

ちなみに前者は試験運転で休止になっているし、海外の既婚マチアプは大量の個人情報流出で大変なことになったらしいので、それらも上手くいっているとは言いがたいのだが、繋がりたい相手のイメージがあるなら、そういう特化型サイトを使うのもいいのかもしれない。

既婚者専用マチアプという地獄の終点がすでにあるなら、他の地獄も大体あるだろうと思って、「漫画家専用ＳＮＳ」を探してみたのだが、私が探した限り存在しないようだ。

しかしよく考えてみれば当然のことであり、漫画家としての正しいコミュニケーションとは、漫画を描き、読者に見せ、褒めてもらったり、二度と描くなと言われたりすることだ。

そういう場ならすでに「pixiv」が存在する。あそこも、いいねやブクマ、コメントなど最低限のコミュニケーション機能はあるが、ほぼ作品だけで殴り合うコロシアムと化しており、だからこそあれだけ巨大になっているのだ。

漫画家同士集まって愚痴を言い合ったり、漫画とは何か語り合うのは、たまにXでやっておけばいいことであり、専用ＳＮＳにまでこもってそれをやりたいという漫画家は相当行き詰っているし、そもそも「ＳＮＳをやっている間は漫画を描いていない」という大問題がある。

漫画家用ＳＮＳを作るとしたら、「ここにアップすればたくさんの人に見てもらえるＳＮＳ」であり、それならやはりpixiv、そして不本意ながらXの方がまだいいだろう。

Xですら言えないヤバいことを言うための漫画家専用ＳＮＳなら需要はあるかもしれないが、それは既婚者マチアプよりも情報が流出したらまずいので、慎重な漫画家ほど入らない。

よって、今のところ漫画家に特化したＳＮＳは見当たらなかったが、「漫画家志望者のＳＮＳ」という、ある意味漫画家ＳＮＳより地獄の深度が進んだＳＮＳは存在した。

確かに、今の漫画家にとってＳＮＳの活用は重要であり、それが運命を変えることすらある。

しかし、あくまで描いた漫画を載せる場であり、まず描かないことには何も変わらない。

載せる場所の用意、まして志望者同士で繋がることを優先しているようではダメだろう。

それより、そのＳＮＳに入ると同じ漫画家志望として繋がった相手が、漫画家になってそこから脱していく様を見続けることになりそうだが、それはいいのだろうか。

そんな強靭な精神力を持った志望者が漫画家になったら私が困るので、漫画家志望者ＳＮＳは、描かない漫画家志望者の吹き溜まりになってほしい。

次回は12月23日更新です。

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