インターネット、そしてSNSの普及により、有名人と一般人の距離は格段に近くなった。
ひと昔前は、プロ野球名鑑とかに選手の住所が直に載っていたり、漫画家にファンレターを出したいので編集部のどこへ良いかと尋ねたら「面倒くせえから直接遅れ」と作家の住所を読み上げてくるような世界観だった。
ある意味距離はこれ以上なく近かったのだが、それでも作家がファンに撲殺されたというようなニュースはあまり聞いたことがないので大らかな時代だったと言えよう。
だが、仮に住所がわかったとしても、距離的、倫理的な問題で、なかなか気軽に撲殺したり、「ファンです!応援してます」と言いには行けないものであある。
だがそれがSNSの普及で気軽に出来るようになってしまったのだ。
一応言っておくが、簡単になったのは撲殺ではなく「応援してます」と本人に伝えることの方だ。
有名人がSNSをやっていれば、そこに直接コメントを送ることが出来る。
本人が読んでいるかわからないと思うかもしれないが、SNSをやっている有名人は割とマメにSNSを見ており、エゴサを熱心にしている人も少なくない。
つまり、有名人だからと気軽にSNSに悪口を書くと、意外と本人が見ており「有名人から死を願われる」という稀有な体験をすることになる。
「呪い」というのは割と効果がある。
私の担当も骨折したり、家の壁が吹っ飛んだりと、最近私の呪いの効果が出始めているので間違いない。
また呪いではなく「訴訟」という物理で来られる可能性もあるので、無名有名に限らず、他人の悪口などSNS書くものではない。
しかし、誹謗中傷やウザ絡みをしたいわけではなく、純粋にファンとして応援メッセージを送りたいという場合も注意が必要だ。
年を取ると、応援したい推しが遥か年下という現象も珍しくない。
そうなると、こちらの方が大分お姉さん()なのだから畏まり過ぎるのもおかしい。もっとフレンドリーに、ユーモアを交え、など、熟考した結果「おじさんがキャバ嬢に送る痛いLINE」が爆誕してしまったりするのである。
自分は相手のことを、飼い犬の名前まで知っているかもしれないが、相手にとっては知らない人なのだ。知らない人から突然、ちゃんづけや君づけをされるというのは、冷静に考えて恐怖である。
しかし「相手に無礼がないように」を考えすぎると、逆に何も言えなくなってしまう。
猫カフェに来て「おキャットに粗相があっては大変」と猫に触らず直立不動になっているのが、このタイプである。
おキャット様は慈悲深く、控えめに言って神なので、ただの生暖かい棒と化した人間の足元にすり寄ってきてくださることもあるが、人間同士の場合はそうはいかない。
別に直接メッセージを送らなくても陰ながら応援すればよいではないか、と思うかもしれないが、人気商売の人というのは応援する声がないと心が折れてしまうのだ。
特にアマチュアの神絵師が「描いても感想が貰えないので…」という理由で描かなくなってしまうことは珍しくない。
礼儀が神を殺すという最悪の結果である。
ファンです、応援しています、と言われて嫌な気になる人間など滅多にいないと思うので、あまり恐れ多いなどとは思わず、応援メッセージは積極的に送った方が良い。
それに、実は直接言う必要すらない、前述通り有名人は割とマメにエゴサをしているので、空に向かって発せられた「はあ…好き…」というつぶやきも案外届いていたりするのだ。
ファンあっての推しである、虚空に向かってでも応援すれば、必ずそれは推しの糧になる。
「黙っている」というのは、実は誹謗中傷の次に推しにとってあまり良くないことなのである。
次回は1月21日更新です。
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