子供のスマホデビュー、どうする?|ほがらかSNSライフ|カレー沢薫 | Souffle(スーフル)
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コラム 2020.01.28

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#67 子供のスマホデビュー

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

「学校卒業したらスマホが欲しい」そんな子供が湧いて出てくる時期です。

ほがらかSNSライフ担当から「そろそろ子供にスマホを持たせるか否かで親が悩む時期なので、その件についてどうかひとつ」と言われたのだが、無職は季節という概念を失っているので、全くピンと来ない。

しかし、進学や進級をスマホを持たせる目安にしている家庭は多いようだ。私もはじめて携帯を持たせてもらったのは高校を卒業してからである。

スマホを持つ子どもが増えたことにより、スマホによる子どもの犯罪被害が増えている。

子どもをスマホ犯罪から守るにはどうしたら良いか、というとやはり一番はスマホを持たせないことだ。

虎穴に入らずんば虎に食い殺されることもない、という話である。

しかし、今の世の中いつまでも持たせない、というのも無理だ。

それに、幼少期、漫画やアニメを親に禁止された子どもほど将来バケモノのようなオタクになる、という説もある。

もちろん、食卓にBL本が置いてあり、森川智之の声が子守歌という英才教育を受けてオタクになる子どももいるので一概にそうとは言えないが、必ずしも過度な禁止が良い結果を生むわけではない。

それに現代ではネットリテラシーも基礎教養の1つである。

成人してから初めてネットに触れ、そこで大暴れしてしまったら、もはや「子供のすること」では済まされない。

我々が半年ロムって勉強してきたように、ネット世界のことも経験をもって早めに勉強しておくにこしたことはない。

だがやはり犯罪被害は怖い。

今は町内の露出狂だけではなく県外のロリコンにまで気をつけなければいけない時代だ、親も子供も大変である。

まず、スマホの機能自体に制限をかけるのは必須だろう。

我々が、あれば金を使ってしまうように、子どもだって機能があればどんなに危険でも使ってしまう。だが最初からなければ使わない。

大人は愚かなので、金がなくても魔法のカードなどでない金を使ってしまうが、子どもは賢いのでない物は使わない。

親が気を配るのはもちろんだが、ずっとは見張れない以上、あとは子どもが危機意識を持つしかない。

だが老人の8割が「自分は振り込め詐欺に引っかからない」と思っているのだ。子どもにどれだけスマホ犯罪に注意しろと言っても、6割は自分は大丈夫と思ってしまうだろう。

危機感を抱かせるにはどうしたらよいか、というと一番手っ取り早いのは「恐怖」を与えることである。

私が部屋から出ないという危機管理が出来ているのは、出たら死ぬという恐怖があるからだ。

よって、スマホ使用の注意喚起をする場合は、漠然と「ネットには変なおじさんがいるので気をつけましょう」などとは言ってはいけない。

我々世代だと、志村けんの顔が浮かんで余計危機感がなくなってしまう。

工場でも安全講習では「昔、ここで手順を守らなかったため、作業員がリアルトムとジェリーのトムになりました」という具体例を出すという。

よって、子どもにスマホ犯罪の話をする時は、実際にどのような方法で被害者がどのような目にあったか具体例を話すようにした方が良い。

子どもにそんな生々しい話したくないと思うかもしれないが、それをしなかったために子どもがそういう目にあっては意味がない。

具体例を知っていれば知っているほど進研ゼミのように「これ知ってるやつだ」と危機に気付けるはずだ。

悪い子のところには鬼が来ると言うだけではダメなのだ。

作画フランシスコ・デ・ゴヤみたいな鬼が子どもを食い殺している絵を見せてリアルに怖さを想像させることが大事なのである。

次回は2月4日更新です。

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OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。しかし、唯一無二の居場所のSNSには炎上、マウンティング、キラキラ女子など、闇も広がっているのです。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方コラム。

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