SNSで誹謗中傷をしたらダメな理由|ほがらかSNSライフ|カレー沢薫 | Souffle(スーフル)
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コラム 2020.06.09

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#86 SNSで誹謗中傷をしたらダメな理由

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

担当を殴りたい気持ちを10年間も抑え続けているカレー沢さんより。

ほがらかSNSライフSNSが発端と言われる痛ましい出来事が起こってしまった。

某TV番組に出ていた出演者の方がSNSの誹謗中傷が原因で命を落としたということである。

まだ事実確認段階のようなので確かとは言えないが、SNSで激しい誹謗中傷があったのだけは事実のようだ。

この出来事はSNS界はもちろんTVなどのメディアでも大きく取り上げられ、そろそろちゃんとSNSでの言動を取り締まる法を作るべきだ、という話も出てきている。

現在でもSNS上での誹謗中傷を訴えることはできるが、「この@unkopakupakuなるあからさまな捨てアカで執拗な誹謗中傷を繰り返してきた奴を地獄に落さねば気が済まぬ」という相当なガッツ、そして時間と金がかかるため、多くの人が泣き寝入りしている状態である。

また誹謗中傷されてガッツだぜとなるパワフル魂の人は少数派で、多くの人は怒りというようり恐怖を感じ、何より落ち込み消耗するため、心身の健康を害し最悪命を落とす結果にもなってしまう。

亡くなったことにより誹謗中傷をした者が反省をするかというと、おそらくそんなことはなく、速やかに「@unkopakupaku」アカウントを消し、訴えられたらどうしようと己の心配をするぐらいである。

そんな圧倒的「したもん勝ち」な誹謗中傷をできるだけなくすために、もっと厳しい法を作るべきだという話にはいつかなりそうな気はしていた。

確かに私が10年も漫画家をやっていて、何故1度も担当を殴ったことがないかというとやはり「法があるから」と言わざるを得ない。

このように「法」には大きな効果がある。

しかし逆に考えると「担当をぶん殴れないような世の中」というのは不自由であり、少なくともポイズンである。

法が出来たことにより、送信ボタンを押す前に「これが人様に言って良いことなのかどうか」考えられるようになる、というメリットはある。

しかし、逆に考えすぎるあまり、推しにメッセージが送れないオタクの如く「何も言えなくなってしまう」恐れもある。

また、誹謗中傷とご意見の差は明確ではない。

誰もが「死ねドス」「ペッ殺す」とわかりやすく誹謗中傷してくれるわけではない。

法が出来たことにより、今度はSNSが自分の気に入らない意見を誹謗中傷として訴える「訴えたもん勝ち」な世界観になる恐れもある。

しかし、こういう事が実際起きてしまった以上はやり、何らか対策をしなければいけないのは確かである。

このように、世の中というのは「悪い方」に合わせて整備されていく。

ごく少数のマナーの悪いファンのためにイベントが中止になったりするように、SNSも問題を起こした者たちのために変えられていく。

自分の好きな場所で暴れれば暴れるほど、その場所は窮屈にされていくのだ。

自分の遊び場を守りたいなら公園の遊具と同じように、自分も他人もケガをしないように使っていくべきだろう。

次回は6月16日更新です。

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OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。しかし、唯一無二の居場所のSNSには炎上、マウンティング、キラキラ女子など、闇も広がっているのです。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方コラム。

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