他人から怒られないために|ほがらかSNSライフ|カレー沢薫 | Souffle(スーフル)
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コラム 2020.10.20

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#104 リアルとネットでも怒られないために

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

怒られずに生きていきたい。

ほがらかSNSライフネットには「怒られが発生する」という言い回しがある。

簡単に言えば「怒られている」という意味なのだが、その言い方に対し「まるで他人ごと、自分が何もしていないのに勝手に怒っている奴が発生したかのような、反省が全く感じられない態度」という新たな怒られが発生していた。

確かにいくら魑魅魍魎が跋扈するネットやツイッターでも全く何もしていないのに怒られるということは稀である。

もし淡々と飯や空の画像をあげているだけなのに「何故あなたはフォロワーゼロなのに誰も見ていない写真をあげ続けるのか!」と怒る奴がいたら、それはそいつの方が怒られるべきだ。

いくらネットでも無から怒られが発生することは稀であり、何らかやらかしてしまったから怒られている場合が多いので「勝手に怒られが発生した」というような言い回しは確かに不適当かもしれない。

だが、やらかしてしまったことに対し怒られる、という構図はリアルでもネットでも同じだが、リアルとネットでの怒られ方には大きな違いがある。

リアルの場合怒られるのは、親、教師、警察、風俗嬢、風俗店店長など、身近な人間や直接迷惑をかけてしまった相手やその関係者に限られるが、ネットの場合は「見ず知らずかつ、やらかしてしまったことに対して全く無関係な人間にも怒られる」という「発生した」としか言いようがないお怒りを頂戴することがあるのだ。

ネット上で起こったやらかしは、それを「見た」というだけで、自分にも罵声を浴びせる権利があり、中には罰する権利すらあると思ってしまう人が少なくはないのだ。

さらに、同じ罪でもネット上だと罰がやたら重くなるという特徴がある。

リアルだと「廊下に立ってなさい」ぐらいのやらかしでもネットにだと「湖の底に頭から突き刺さってなさい」という犬神家レベルの判決を受ける上に基本的に「許される」ということがなく、関係ない人たちが「飽きる」のをひたすら待つしかない。

もちろん有志により個人情報を特定され、ネットでのやらかしが現実にまで影響を及ぼすこともある。

一見ネットというのは匿名で、現実より自由に振る舞えるように見えるが、その言動は広まり方が現実の非ではないため、ある意味現実よりも発言や行動には気をつけなければいけない。

さらに、ネットで起こしたことは基本的に半永久的に消えない。

社会的地位を得て還暦を越え孫が二人出来てもネット上には、高二の時バイト先の厨房で冷蔵庫に入って半ケツダブルピースをキめている動画が残っているのである。

そんなことを言うと、ネットでは何も発言せず発表せず、するとしたらフォロワーゼロのアカウントに空の写真だけあげておけと言っているように聞こえるかもしれないが、もちろんそこまで警戒することはない。

ただ、リアルでも怒られそうなことは、ネットでも漏れなく怒られるし、リアルより何倍も広く大きく怒られが発生するのでやめておこう、という話である。

ツイッターは現実では言えないことを言う場所でもある。

しかし「現実では怒られることでもネットなら言って良い」ということではないのだ。

次回は10月27日更新です。

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OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。しかし、唯一無二の居場所のSNSには炎上、マウンティング、キラキラ女子など、闇も広がっているのです。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方コラム。

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