RTの仕様変更が生んだ闇|ほがらかSNSライフ|カレー沢薫 | Souffle(スーフル)
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コラム 2020.11.03

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#106 RTの仕様変更が生んだ闇

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

急な仕様変更に戸惑います。

ほがらかSNSライフ先日ツイッターに「つぶやきに対するリプライを制限する機能」が実装された時「真の闇は引用リプに潜んでいる、引用リツイートまで制限しなければツイッターは永遠にドラクエ3におけるアレフガルドだ」という意見も多かった、という話をした気がする。

そして、その後どうなったかと言うと、なんとツイッターは引用リツイートを制限するどころか「引用リツイートを推奨する機能」をつけてしまった。

ツイッターとツイッターユーザーほど「相容れぬ存在」というものが今までこの世にあっただろうか。ツールとユーザーの関係でなかったらもう縁を切った方がいいレベルだ、

まずリツイートというのは、ただ無言で誰かのつぶやきを広める行為である。
そして引用リツイートというのは、誰かのつぶやきの上に自分のコメントを一言そえて、自分のつぶやきとして発信する行為だ。

何故引用リツイート闇があるかというと、自分のつぶやきという形になるため「元のつぶやきの相手にそれが届いている」ということを知らずに、リプよりさらに遠慮のない批判や罵詈雑言を書いてらっしゃる方がたまにいらっしゃるからだ。

相手に届くと知った上で「お前が良い気分でつぶやいたであろうツイの上に特大のクソを乗せてやるぜ」という確信犯なら良くはないけど、もう仕方がない。
しかし、便所と勘違いして人の顔面にクソを乗せてしまっているなら、ある意味お互い不幸である。

もちろん引用リツイートは使って良い機能だし、コミュニケーションツールである以上、誰かの発言に対し、例え批判であろうと自分の意見を言うのは悪いことではない。

ただ、人のつぶやきの上に攻撃的なコメントを載せておいて、本人から反論が来た時「まさか本人が見てるとは思わねーし」と「他人の家に入っただけで騒がれるとは思わなかった」みたいな不可解な供述をして、慌ててツイ消しをするようなダサい真似をするぐらいなら、引用リツイートは使用しない方が良く、リツイートしたからエアリプという最初からダサいことをした方がマシだ。

ただ引用リツイートを使う事が無礼というわけではない。そんな無礼機能を推奨するようになったというなら、いくらツイッターといえどスラム街としての自覚がありすぎる。

むしろ何か良いつぶやきや、自分が推したいものを宣伝する時、ただリツイートするだけではなく引用リツイートで、それがどのように良いか一言プレゼンを添えるなど、効果的な使い方をしている人も多い。

つまり、引用リツイートを使うなら、リプライ同様「相手に向かって面と向かって言えないようなことは書くな」ということである。

ちなみにツイッターが何故このような機能をつけたかというと、他人の意見を安全圏から「これを自分の意見とかけさせてもらいます」とリツイートばかりするのではなく、ちゃんと自分の言葉で意見を言って欲しいからだそうだ。

ツイッターともあろうドブ川が、突然自分のことをフェイスブックとでも勘違いしてしまったのだろうか。

だが、もしかしたらツイッターは元々、意識高いコミュニケーションツールにしたくてツイッターを作ったのかもしれない。
だとしたら、ことごとくユーザーの希望とは真逆の機能をつけるのも頷ける。

ノーベルも人を助けたくてダイナマイトを作ったのにそれが人を傷つける道具として使われてしまったし。
神も、出す場所として人間に肛門をつけたのに、なぜか一部の人間は入れるほうに使ってしまう。

作り手の意図が必ずしも使う側に伝わるわけではないのだ。
このようにツイッターほど相互理解の難しさを教えてくれるツールは存在しない。

次回は11月10日更新です。

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OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。しかし、唯一無二の居場所のSNSには炎上、マウンティング、キラキラ女子など、闇も広がっているのです。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方コラム。

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