誹謗中傷とSNS|ほがらかSNSライフ|カレー沢薫 | Souffle(スーフル)
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コラム 2020.12.08

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#111 SNSと誹謗中傷

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

最新話更新!

ほがらかSNSライフ先日ツイッター社が「嫌いボタン」の実装を臭わせてツイッター民を震撼させた。
しかし、その後動きはなく、ツイッター民もツイッターで話題だったことを24時間で忘れるというフリート脳のおかげで、現在は嫌いボタンのことをすっかり忘れ、別の物に震えたり燃やしたりしているが、それも明日になれば忘れているだろう。

もしかしたら、最近新機能をつけるたびに「ツイッター君さあw」などと舐めた反応をするツイッター民をビビらせるために言ったジョークだった可能性もあるが、そうだとしたたらツイッターさんも人が悪い。

ツイッターの住民なんて、ツイッターがなければ、言いたいことを言っていい場面ですら「オフっ」とか言ってしまう、セルフセルフポイズン野郎ばかりであり、ツイッターに対して文句を言うのも、中学生が親に「俺はもう一人で生きていく!」とか言っているのと同じなのだから、もう少し微笑ましい目で見ていただきたい。

実際「嫌いボタン」は「住民同士を殺し合わさせることで数を減らす」という、人口抑制作戦でなければやらない方が良いと思う。

先日ツイッターは誹謗中傷を減らすという目的でリプライ制限機能をつけたはずだが、誹謗中傷を減らすという目的を忘れていないなら、この嫌いボタン実装は真逆の機能だと思う。

もしかしたら、嫌いボタンを押すことでとりあえず溜飲を下げさせ、もっとひどい誹謗中傷を送る事を抑制させるという、覚せい剤とかに手を出さないように、大麻は合法にしておくという作戦なのかもしれない。

そもそも何故ネットで誹謗中傷が多いかというと、相手の顔が見えないのと、一応匿名であることから、リアルで誹謗中傷するより格段にやりやすいからである、
さらにツイッターには拡散機能があるため「みんなで叩けば怖くない」となり、さらにハードルが下がる、ちなみに叩いているのはもちろん石橋ではなく人だ。
みんなが叩いている上に、相手は何かやらかした人間な場合が多く、もはや誹謗中傷をしているという意識すらなくやっているケースも多い。

だが、最近はSNSでの誹謗中傷で訴訟沙汰になることもあるので、賢い人間はあまりやらなくなっている。
しかし「嫌いボタン」が実装されると、ボタン1つで相手を嫌に気分にさせられるという手軽さもさることながら、そういう機能をツイッター社がつけている時点で「合法行為」なので、いくら嫌いボタンを押しても訴えられることはない。
つまり「安全に人を誹謗中傷できるようになった」と言っても良い。

ユーチューブにもグッドボタンとバッドボタンがあるではないかと思うかもしれないが、ユーチューブはコミュニケーションツールというより、表現ツールなので、表現者はある程度「評価される」覚悟があるが、ツイッターは表現のつもりでやっている人間ばかりではない。
独り言のつもりで言ったことに対し、見知らぬ人が「僕は君のその発言好きになれない、嫌いまである」気軽に言ってくる世界観で戦い抜けるのはおそらくごく一部であり、ツイッターは掃き溜めから一気に選ばれし者たちが集う闘技場と化してしまう。

それが元々ツイッター社の想定していたツイッターの世界だというなら「なるほど」としか言いようがないが、度重なる我々の文句と言う名の要望を真摯に受け止めての新機能だとしたら、ツイッター社さんはイキリ中学生が打ってきたゴム鉄砲にロケットランチャーで応戦しているようなものなので、もう少し「大人げ」というものを学んでほしい。

この連載が単行本になります。2021年2月売予定です!

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OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。しかし、唯一無二の居場所のSNSには炎上、マウンティング、キラキラ女子など、闇も広がっているのです。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方コラム。

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