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コラム 2021.07.13

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#142 話し下手のためのスペース入門

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

話し下手な人はどう付き合えばいいか戸惑うばかりです。

『ほがらかSNSライフ』ツイッターの投げ銭機能は依然私のところには未実装だが、それより先に「有料版スペース」が発表された。
ちなみにスペースは全ユーザーに使えるようにしたと言っているが、まだ使えない人もいると聞いている。
この、ついて来れない奴は振り落としていく、というスタイル、嫌いではない。
だからと言って好きでもない。

まずスペースが何なのか知らないし、知らないまま死んでいく人も多いと思うので再度説明するが、ツイッターに実装されたボイスチャット機能である。

ホストがボイスチャットの部屋を作るとそのフォロワーに「お前の知り合いが何かブツブツ言い出したぞ」と通知が行くので、まずリスナーとして部屋に入り、もし自分も喋りたいスピーカーとして名乗りを上げることもできる。
しかし、いくらリスナーがここやと手を上げても、ホストがシカトを決め込み承認しなければスピーカーにはなれないシステムになっている。
逆にホストに「著作権について、おそらく何の悪気もなく無断転載アイコンを使っている君の意見も聞いてみたいな?」と煽られても「一体誰のことでヤンスかね?」とキョロキョロし続けておけば良く、蝶野に無理やりステージ上に引きずり出される月亭方正みたいにはならない。
しかし、ホストは「そこのまどマギのてめーだ!」とリスナーを部屋から追い出し出禁にすることもできるらしい。
よって当初危惧されていたような、知らない人がいきなり部屋に入って猥歌を絶唱して出ていったり、リスナーとして入ったのに、入った瞬間銃口のようにマイクを向けられ拒否権がない、ということはないようだ。

では有料版スペースとは何かというと、まずホストが「この日にスペースやるぞ」とスケジュールを発表し、聞きたいフォロワーは「チケット」を購入、当日チケット購入者だけ入室できるという寸法らしい。

現在でも有料でトークライブ配信をしている人はいるので特に斬新な機能というわけではない。
しかし、説明を読むと、どうやらツイッターが想定しているのは「有料で推しの話を聞こう」ではなく「金払って推しと話そう」なのである。
相変わらずツイッターは自分のユーザーは陽キャしかいない、という蜃気楼から脱していないようだが、中には明日青木ヶ原に行く前に推しと話しておこうという人がいるかもしれない。
しかし本当に困るのは推しと話すファンではなく、ファンと話す推しな気がする。

ファンというのは推しのことを知りつくしており、推しの誕生日はもちろん製造年月日など、本人すら知らない、むしろ知りたくないことまで知っていたりする。
よって推しについて語れと言われたらいくらでも語れるし、本人に伝えたいことだって、スタッフに羽交い絞めにされるまで尽きない、という人も多いだろう。

しかし本人にとってファンというのは、よほどファン数が少なくズブズブでない限り「よく知らない人」であり、下手をするとスペースの壇上ではじめまして、という恐れすらある。
そして、ファンはいくらでも推しを褒めることができるが、本人は基本的に「ありがとうございます」しか言えないのだ。

トークのプロなら初対面でも話を広げられるかもしれないがそうでなければ、そうでなければ、最悪クラス替え初日みたいな雰囲気になってしまう。
しかも有料である以上、挙手した人間をシカトするということはできない。

さらに、推しと知らない人が、微妙な手探りトークをしている様を有料で聞かされているファンが発生してしまうかもしれないのだ。
それを思うと、そう安易には有料スペースを開くことはできない。

ちなみにこの有料スペースは現在「β版」だそうだ。
「β版」というのは時々「無料デバッカー募集」だったりするので、使用の際は気をつけてほしい。

次回は7月20日更新です。

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『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方とは?

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