ネットというのは元々情報の「拡散」がされやすいツールであったがTwitterのリツイート機能などにより、その拡散力はさらに高まった。
拡散されることにより、有益な情報が広まったり、今まで泣き寝入りで終わっていたことが拡散されることで無視できない状態になったり、誤発注で一万個頼んでしまったプリンが売れたりなど、良いこともある。
自分も宣伝費が出ない作家なので宣伝はもっぱらTwitterだ。
Twitterの拡散機能がなければ今ごろ漫画業界どころかこの世に存在しなかった可能性すらある。
だが一方で、デマや根拠のない誹謗中傷、個人情報、俺の卒業文集など、拡散してはならぬものも急速に広まり、手に負えなくなってしまうこともある。
ネットに流出し拡散された情報を完全に消去するというのはほぼ不可能だ。
よって今でも「ブス」で検索すると自分の顔写真が出るという人がこの世に存在するのである。
このような、ネット上で拡散され消すことのできない情報のことを「デジタルタトゥー」という。
なぜこんなちょっとかっこいい風の名前なのか、警鐘を鳴らしたいなら「インターネット焼き印」とか、ダサい感じの方が良いのではないか。
親は子供にこのタトゥーを彫らないように注意しなければいけないのだが、世の中には「子育てアカウント」などと称し、自分の顔は出さないのに子供は顔出しでネットに載せ、やらかしたことを逐一つぶやくという、我が子にゴールデンカムイ級の刺青を彫っている親もいる。
拡散されて困る情報は最初からネットに出さないのは当然だが、自分が何かの情報を拡散させる時も注意が必要である。
デマをリツイートしてしまうとデマの拡散に加担したことになってしまうし、その情報がデマと知っている人からは「デマを拡散してしまう人」と思われてしまう。
つまり、何をリツイートするかによって自分の評価も変わってしまうのである。
拡散することで評価が落ちるものの元祖と言えば「不幸の手紙」である。
不幸の手紙とは「これと同じ手紙を4人に出さなければ不幸になる」などと書かれた手紙のことである。
もちろん手紙自体にそんな力はないが、やはり子供は真に受けてしまい、手紙は相当広まったようだ。
その後、通信手段がメールになったことにより今度は「チェーンメール」というものが流行った。
概要は不幸の手紙と同じようなものだが、手紙を書くよりはメールを送る方が手軽なので、さらに大きく広がったようだ。
「ワシが若い頃には鉄腕DASHのチェーンメールが流行っての」という老婆の昔話で終われれば良いのだが、このチェーンメール文化は令和になっても生きているらしく、先日「娘に友人からチェーンメールが届いた」という親の投稿が話題になっていた。
仕組み自体は不幸の手紙から特に変わりがないが、「このメールを受け取ると幸せになれるから友達に送ってあげよう、送らないってことは友達がいないってことだよ」という、まだドストレートに不幸になれと言われた方がマシな内容に変化しているという。
しかしそれを信じて本当に友達に送ってしまう子供がまだいるのも事実である。
悪気がないのはわかっていても送られた方は迷惑であり、どれだけ時間が経っても「そういやこいつに迷惑メール送られたことがあったな」ということを覚えている可能性が高い。
なぜなら私が、20年前、友人に迷惑メールを送られたことを未だに覚えているからだ。
デジタルタトゥーも恐ろしいが、他人の心に刻まれた自分のやらかしタトゥーの方が恐ろしいのである。
次回は6月28日更新です。
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