#215 一生消えない「デジタル焼きゴテ」 | Souffle(スーフル)
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コラム 2022.12.20

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#215 一生消えない「デジタル焼きゴテ」

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

最新話更新!

『ほがらかSNSライフ』前回、TLをゴチャゴチャにするのが俺の仕事ニキのことを書いて提出したところ、担当から「当該記事の当該部分はすでに修正されている」との指摘が入った。

私も確認してみたところ確かにゴチャゴチャにするのが仕事部分は「ツイッターのホーム・タイムライン・モデリング部門のテックリードを務めていました」に修正されていた。

逆にどんな仕事をしているのかさっぱりわからなくなってしまったが、これを見て「お前がTwitterのテックをリードしてたんかい!」と突っ込む人は少数だろうし、少なくともこれだけを見て「解雇されて当然」などとは言えない。

修正理由は「本人のコメントを元に業務内容の表現をアップデートした」そうである。

よって、本人が言っていないのにそのように書かれてしまったのか、本当に言ったが、のちのちあの発言は誤解を招くので修正を依頼したのかは定かではないし、本人が修正を依頼したのかどうかも不明だ。

ただ言っていないのに書いたなら謝罪文を載せるレベルのことだし、私が本人だったらTwitter社で培った技術を用いて記者の内臓の配置をゴチャゴチャにしてやる。
それがないということは近しいことを言ったのではないかとは思うが、これはただの邪推である。

しかし真実がどうであれこれは恐ろしいことである。
修正前の記事はかなりバズっていたため私も目にしたのだが、修正があったということは全く知らなかった。
つまり彼のことを、TLゴチャゴチャニキだと思ったままの人が相当数いるのではないか、ということだ。

一度ネットに出してしまったものを完全に消すことはできないし、訂正を出したとしてもそれが見た人に届くとも限らず、誤解されたままであることが多い。
ネットにより一生消えない傷が残ってしまうことを「デジタルタトゥー」と呼ぶのだが、自分が発信したものならまだしも、他人の発したもので自分に消えない傷跡が残るのは「デジタル焼きゴテを押された」としか言いようがない。

自分が発信する時に注意しなければいけないのはもちろんだが、インタビュー記事など自分の言葉を他人経由で発信する時も注意が必要だ。

大体のインタビューはもう少し取り繕ってくれても良いぐらいそのまま載るが、稀に先方が求めるテイストにされてしまっていることもある。

かなり前にソシャゲについてのインタビューを受けたことがある。

私は、ガチャに大金を使いましたが推しが出たのでハッピーです、1ミリも後悔してません、とろくろを回しながら答えたつもりだったが、記事は「ソシャゲに大金を使ってしまい、やめたくてもやめることができないガチャ依存の漫画家Kさんが課金の恐ろしさを語る」みたいになってしまっていた。

その特集自体が「ゲーム課金の怖さ」をテーマにしている感じだったので、その中にダブルピースで「ハッピー!」とか言っている奴が交じっていたら困るのはわかるが、ソシャゲに課金して後悔している人みたいに思われるのは心外である。

しかし、その記事は掲載前に、ちゃんと私に内容確認がきたのである。
それを読んで「全然意図と違う」と思ったが修正しようと思ったら「全部」になってしまうし、これ自体をネタにしてやろうと思って、ガチャ依存に苦しむKさんとしてそのまま記事は掲載された。

おそらくゴチャゴチャニキも、掲載前に内容確認はあったはずである。なかったとしたら記者が全面的に悪い。
確認した上でOKを出したならニキも少し甘かったかもしれない。

もしインタビュー記事で「意図と違う」と思ったり、確かに言ったけどこの発言を世に出したくないと思ったら、絶対に掲載前に修正か削除を求めた方がいい。
今もガチャ依存者のKさんとして誰かの記憶に残っているかもしれない私との約束だ。

次回は12月27日更新です。

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OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。しかし、唯一無二の居場所のSNSには炎上、マウンティング、キラキラ女子など、闇も広がっているのです。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方コラム。

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