大きな災害時にデマが流れるというのは今に始まったことではない。
ただ、今回はその数が格段に増えていた気がする。
これはXに張りついたコケの主観ではなく、NHKや内閣府が「SNS上のデマに気をつけろ」と異例の注意喚起を出したほどである。
デマが増えた原因は、収益化のためのインプレッション稼ぎが一因なのはおそらく間違いないが、災害時のデマ自体は今に始まったことではなくネットが普及する前からあったことである。
ならばなぜ災害時にデマが広がりやすいかというと、災害により発生した「不安」「怒り」そして「善意」が関係しているのではないかと言われているようだ。
災害時は誰しも不安なものである。その不安はやがて「何故自分がこんな目に」という怒りに変わり、以前から心の奥底にあった「悪魔結社が流している怪電波のせいではないか」という疑念が確信へと変わり爆発してしまうのである。
そして、その説を聞いた側も、平常時であれば「そんなわけがない」と冷静に判断できるが、怒りと不安は人間の「判断力」も低下させるため、「そうかもしれぬ」となってしまうのだ。
内閣府は「流言は智者に止まる」という格言を交えてデマへの注意喚起を行っていたが、リサリサ先生だってシーザーがアレした時はタバコを逆にくわえてしまうのだ。
災害のような命の危険を感じるような状況では、どんな智者でも痴者になりかねない。
非常事態の人に、冷静に判断しろと命令だけするのは酷であり、まずは冷静になれるように不安を取り除くのが国の役目である。
しかし、被災もしていないのに冷静さを欠いてデマをリポストしている勢に対し、お上が苦言を呈するのもわかる。
実際「被災地のために何かしたい」という非被災地の人間の「善意」も、デマを広める要因の一つなのだ。
ちなみに、災害が起こるとほぼ必ず「ゴミにしかならないから被災地に千羽鶴を送るな」という苦言ポストが現れる。
しかし、今回の震災でもノーモア千羽鶴を叫ぶポストは何件も見かけたが、肝心の千羽鶴を送ろうとしている人間は1人も見かけていないのである。
この現象には「千羽鶴への怒りポストは1000リポストは堅いから非実在千羽鶴に対して怒っている」という説がある。
これが本当かはわからないが、注意や苦言などの「怒り」は目を引くし、伝染もしやすいため、インプレ稼ぎに使われやすいというのは事実である。
良かれと思って火事場泥棒の片棒を担ぐこともある、ということだ。
安全な場所にいる人間がまず発揮すべきなのは、「善意」ではなく「平常心」なのである。
次回は2月13日更新です。
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