公式Twitter 公式Facebook 公式Instagram RSS
Souffle(スーフル) Souffle(スーフル) 息、できてる?
コラム 2021.09.07

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#150 SNSで拡散されていくもの

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

最新話更新!

『ほがらかSNSライフ』先日「キャンセルカルチャー」について「過去の言動を掘り返して失脚させること」と書いたが、正確には「過去に限らない」そうだ、謹んでお詫び申し上げる。

つまり、現在過去未来、全ての言動が糾弾対象というもっと厳しい話だったということだ。
それを考えれば、SNSに「空」「足元」「特に美味そうでもなんでもない今日食った物」という「つまらない物三種の神器」しか載せない人間が一番利口ということになる。

つまらないということは「糾弾しようもない」ということだからだ。
それしか投稿することがない人間が何故SNSをやっているのかも謎だが「見ている人間を楽しませないといけない」という強迫観念こそが炎上の元である。
「他人にウケようと思わない」というのもSNSを平和に続けるコツの一つだ。

そして一番賢いのはもちろん「自分のおキャット様画像しかあげない」である、もしこれを糾弾する輩がいたら、逆に武力弾圧に出ても罪には問われない。
そして同じぐらい賢いのが「SNSをやらない」ということだ。
SNSをやっているから、ついいらんことを言ってしまい、さらにそれが記録に残ってしまい、ここぞという時に「俺のターン」と切り札として繰り出されてしまうのだ。

実際キャンセルカルチャーとSNSの相性は良くも悪くも抜群と言われている。

実は言うと、例のいじめ問題も、数年前にネットで見たことがあるし、幾度となく取りざたされてきたことらしい。
ただ、当時はネットはあってもSNSというものがなかったため、あそこまでの大ごとにはならず、うやむやになっていたようだ。

SNS最大の特徴はやはりその高い「拡散力」にある。
どれだけ正しい糾弾や告発でも、それを言っているのが一人しかいなければ「電車ででかい独り言を言っている人」と同じ扱いとなり、良くて無視、最悪不審者として糾弾される側にされてしまうことも少なくなかった。

だがSNSによってそれが拡散され、同意見の人間が増えることにより、変わり者の独り言ではなく「無視できない意見」として取りあってもらえるようになった、というケースは多数ある。

このように、キャンセルカルチャーというのはただの揚げ足取りではなく、今まで何故かうやむやにされてきたことを「やっぱり間違っとるぞ」と改めて問題提起することでもあり、そのためにSNSを使うというのは有効な手段である。

しかし、SNSの拡散というのは必ずしも正しい形で広まるとは限らない。
広まる内に伝言ゲームのように内容が変わってしまうこともあるし、最終的に「よくわかんねーけど、こいつを叩けばいいんだな?」という世紀末パリピにまで届いてしまうという危険性がある。
殴れれば何でも良い人が加わってしまったらもはやそれはリンチであり、むしろ最初からリンチに発展すること目的にカウンターカルチャーを起こす人間もいるだろう。

我々も気をつけないと、社会運動に参加しているつもりで、実際には丸太を持って集団リンチに加担ということになりかねない。

何かに賛同する時は、ツイッターに書かれた140字だけで判断せず、詳しい事情を調べてからにすること、そして調べた上で「よくわからなかった」なら「わからないことには触らない」ということを心がけたい。

次回は9月14日更新です。

前の回を読む 次の回を読む
『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方とは?

『一億総SNS時代の戦略』をオンライン書店で購入