#276 男や女などのぼんやりした巨大概念に怒っている時のホットさはどこへ | Souffle(スーフル)
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コラム 2024.04.09

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#276 男や女などのぼんやりした巨大概念に怒っている時のホットさはどこへ

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

最新話更新!

『ほがらかSNSライフ』大谷選手の結婚相手が非公開だった時は、「誰だか知らんがそこらのバカ女と違って匂わせしないからスゴイ」という話になり、公開されたらされたで「やはり成功者に選ばれるのはナチュラル美人上目づかいタヌキ顔メイク女涙目」という話になる。世界一治安が悪い我がXのおすすめ欄だが、今日は大谷選手の通訳が解雇されたというニュースで持ち切りである。

ここ最近、私のおすすめ欄における大谷出現率がコラッタ級に高くなっているということだが、これが「野球で話題になっている大谷」になると急にレアポケモソと化してくる状態である。

解雇理由はまだはっきりしていないが、ギャンブルで大谷マネーを何かしてしまったらしく、違法賭博に関わっていたという報道もされている。

本当だとしたら、横領や賭博など犯罪行為に手を染めていたかもしれないということなのだが、我がおすすめ欄は「あんなにいい人そうだったのに、やっぱりお金は人を変えちゃうのかしらね」と妙に冷静であり、男や女などのぼんやりした巨大概念に怒っている時のホットさはどこへ行ったのか不思議である。

これは、この通訳の印象が今まで良かったせいと思われる。
逆に悪かったら今頃「俺は以前からおかしいと思っていた」と言い出す人間が溢れ、我がTLは終日運航停止になっているだろう。

それと、怒りや疑惑といった感情は、全貌がはっきりしていない時の方が増幅しやすいのかもしれない。
全貌が説明されなければこちらは臆測するしかなく、臆測というのはより過激に、そして面白い方向に広がりがちなのである。
今回の解雇も「金がらみ」という情報が出ていなければ、大谷妻を早速NTRなどのより楽し気な臆測が飛んでいたかもしれない。
有名人がプライベートなことでイチイチ会見を開くのも、勝手な臆測が飛ぶぐらいなら、自分の口からある程度説明した方がまだマシだから、というのもあるのかもしれない。

これまでの好感度が高かったおかげで、今のところ本人批判より、金やギャンブルの恐ろしさに慄くポストが多いのだが、そうつぶやかれているXこそが金で倫理観を失った者たちの巣窟になりつつもある。

先日「チャールズ国王死亡」がXのトレンドに上がっていたのだが、その下に「虚偽報道」というワードも上がってきており、トレンド欄が実質即オチ2コマと化していた。

実際、デマだったのだが、このような雑なデマにも関わらず日本でも100万回表示され、イギリスが公式で「生きてます」と否定する事態にまでなっていた。

これは収益化のためにデマを流してインプレッション数を稼ぐ「インプレゾンビ」が増えているせいなのだが、バイオハザードのゾンビが一種類ではないのと同じで、インプレゾンビにもいろんな種類がいる。

デマを流すゾンビに、バズっているポストにひたすらリプを送るゾンビ、そしてトレンドに上がっているワードを無意味に羅列してつぶやき、検索によるインプレを稼ぐゾンビがいるのだ。

よって「チャールズ国王死亡」がトレンドに上がっていると見るや否や、同じワードでつぶやくゾンビが急増するため、余計デマは拡散されていくのである。

しかし、ここまでして得られるインプレッション報酬は、月数千円から数万円程度が相場だという。
ちなみに大谷の通訳の借金は6億ぐらいと報道されている。

どうせ品性を売るならこのぐらい高く売れ、という話ではないが、それでも数千円で売るのはあまりにも安すぎる気がする。

次回は4月16日更新です。

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OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。しかし、唯一無二の居場所のSNSには炎上、マウンティング、キラキラ女子など、闇も広がっているのです。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方コラム。

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