#279 推しに嫌われるSNS | Souffle(スーフル)
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コラム 2024.04.30

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#279 推しに嫌われるSNS

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

最新話更新!

『ほがらかSNSライフ』先日Xで「推し活」に関する記事がバズっていたのだが、その中に「自分は推しのネタであろうともつまらないと感じた時は正直にSNSなどにつまらなかったと書くので、それが他のファンや推し自身にも嫌われてしまった」というようなことが書いてあった。

推しが本当にダメ出しを嫌ったかどうかは不明だが、他のファンに嫌われたというのはありえるだろう。
実際何かを批判すると、そのファンがすっ飛んできて批判したことを批判されることがあるらしい。

誹謗中傷はダメだが、「自分的にはつまらなかった」などの個人の感想をSNSに書くことさえ許されないのか、という議論は度々起こる。
もちろん自由に書いていいし、自律神経を乱しながら得た賃金で買った漫画やゲームがクソだったという悲しみをどこにも吐き出してはならないというのも酷である。

しかしX川は広大なので、「俺の視界内で推しの悪口を言うことは何人たりとも許さん」という思想の人がいるのも確かだし、「お前の批判意見に対し批判を書くのも自由だろう」と言われたらそのとおりだ。

よって、自分と違う意見の人からの批判や議論を避けるために、ネガティブな意見自体SNSには書かずに飲み込むという人も多いと思う。

つまりポイズンなのだが、Xがポイズンなのはわかりきったことだ。
争いを避けようと思ったら言いたいことを言えないポイズンだし、言ったら言ったで知らない人が自分のリプ欄に毒を撒いていくという、アヘ顔ダブルポイズンなのがXである。

Xは突然バズるので、リアルでは言えない心情をひっそり吐露したいだけの場所としては不適当であり、むしろ「俺はクソだと思ったがみんなはどう思う?」と、リプ欄が地獄になる覚悟で他人の賛同や意見が欲しい時に使う場所として使う方が適当なのだ。

もし、X上でこっそり愚痴を吐きたいという、ギンギラギンにさりげなくみたいな矛盾を抱えているなら、鍵アカにしてからの方がいい。
また、Xにはリプ制限機能もある。それ自体が自分の言いたいことを言いっぱなしポイズンかよという批判を受けることもあるが、使っていい機能だから存在するのだ。
別に意見が欲しいわけではない時は、「異論は受け付けない」ではなく「ここで議論をするつもりはない」という意思表示だと思って、使っていくべきだろう。

ちなみに冒頭の記事には「面白くない時には面白くないと言ったが、それも推しへの愛だったのにわかってもらえなかった」というような記載もあった。

私も、人の評価を受ける身だが、そういう人たちが真摯な意見であれば批判も愛と受け止めるかどうか、というのは「人による」としか言いようがない。

批判を受け入れて邁進するという意識が高い人もいれば、人の意見に一喜一憂してしまうからネットの類いは一切見ない人もいる。

また、いつもは受け止める人でも「今は肯定意見しか聞きたくない、それ以外は言うな、言ったら泣き叫ぶ」という赤ちゃんになっている時だってある。

プロも人間であり、たまに乳児にもなるので、そんな時に批判をぶつけたら、推しに嫌われるということもやはりありえるだろう。

次回は5月7日更新です。

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OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。しかし、唯一無二の居場所のSNSには炎上、マウンティング、キラキラ女子など、闇も広がっているのです。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方コラム。

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