X上には「妻が育児家事介護全部やるのはしんどいと言うのですが僕はしんどくないと思います、みなさんはどう思いますか?」など、一見広く意見を求めているように見せかけて、自分の意見に賛同してほしい、そして一緒に相手を責めてくれるメン募であることが透けて見えるつぶやきがたまに現れる。
そういう投稿にかぎって「おかしいのはお前だ」と批判が殺到しがちで、広く意見を求めていたはずの投稿主はそれらを無視、もしくは「童貞にはわからないと思う」など、意見ではなく人格をダイレクトアタック、数少ない賛同意見のみに「貴重なご意見ありがとうございます」と返信していたりするのだ。
こういったむしろ日本のモラハラ解像度が異常に高い西アフリカ産インプレゾンビの釣りであってくれという投稿を見るたびに「歪みオブ認知」と、実はそんなに意味がわかっていない言葉を使ってため息をついていたのだが、実は自分もスクリュー認知勢と大して変わらない思考回路を持っていることに気づいた。
先日「Xはいいねを非表示にさせてくれるなら課金も考える」と書いたが、ほどなくして本当に全面的にいいねが非表示にできるように仕様変更がされたのだ。
私にとっては吉報である。しかしその日のXは、いいね非表示に対する嘆き、稀に見る改悪であるという怒りばかりが目についた。
私はそれに非常にショックを受け、そんなはずないだろう、とすら思ってしまった。
この時点で「みんなも自分と同じ意見に違いない」という、広く意見求めニキと同じ思い込みをしてしまっている。
「私はいいね表示は不要だと思いますが、皆さまはどう思いますか?」などと広く意見を求めなくて本当に良かった。
そもそも、いいね欄が必要か不要かは「好みの問題」としか言いようがなく、たとえ必要派が多数派だとしても、不要だという私の考えが否定されたわけではなく、ショックを受ける必要もないのだ。
しかしX上で争いが絶えないのは、自分と違う考えを「そう思う人もいる」でスルーできない人が増えているせいではないか、という指摘もある。
「カレーが嫌い」という人を「そうなんだ」で済ますことができず「俺は好きなのに何でそんなこと言うんだ」と詰めより、「カレーが嫌いな人間とミロを飲んだことがない奴は成育歴に問題がある」など、自分と違う意見の者を何らか問題のある人間に仕立て上げ、自分の意見を正当化しようとしてしまったりする。
私も一歩間違えれば、「いいね欄非表示で困るのはストーカー予備軍だけ」などと主張してしまっていたかもしれないということだ。自分の考えを過信しすぎてはいけない。
そもそも、いいね非表示反対派の声ばかり聞こえるのは、この機能をヘビーユーズしていた人間しか反応していないだけな可能性もある。
大きい声が多数派とは限らないし、そして多数派が正しい、とも限らない。人の意見には左右されすぎず、そして干渉しすぎないようにしなければいけない。
次回は7月9日更新です。
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