先日夫が急に家にある防災セットを新しいものに替えていたのだが、後日になってそれが「7月5日に日本滅亡」に備えての行動だったことが判明した。
日本が両断されるほどの災害に頭巾で対抗できるとは思えないが、それよりも配偶者が割とデマを鵜呑みにするタイプという方が驚異である。
しかしこれを「デマ」と言えるのは、今現在日本が縦にも横にも割れてないからだ。
「その時になってみないとデマと断言できない」のが、予言系デマの性質が悪いところである。
私とて「そんなことあるわけがない」と思いながらも、「もしかしたら」というワンチャンは捨てきれなかった。
そして、「もしかして」に備えてしまった人の行動により、店から便所紙が消えるのだ。
結果論で「デマに踊らされたマヌケ」と言うことはできるが、何せその時になってみなければわからないので、不安に駆られてしまった人を一方的に非難はできないし、一番悪いのは人を不安にさせるようなデマを流す者だ。
「もしかして日本が割れるかもしれない」という不安に対する対策が、「賞味期限切れの乾パンを入れ替える」だった夫のことはますますよくわからないが、これも不安により判断力を奪われた人間の行動だと思えば説得力がある。
それに日本分裂レベルのデマを信じる者は少数派としても、総務省の調べによればネットを利用している半数の人間がデマを信じてしまっているそうだ。
そんなことはない、と言いたいところだが、デマを信じている人間に「自分は騙されている」という自覚があるわけないので、私も気づかぬうちに騙されまくっているのだろう。
また、ネット民たちはデマに騙されるに飽き足らず、それを拡散してしまいがちだという。
インターネットからは人の知力を下げる電波が出ている、というデマを流したくなるほどの結果だが、おそらくネットに広まっているデマの多くが、「不安」そして「怒り」を煽るものだからだろう。
「あの人に罠にかかっているところを助けてもらったことがある」など、善行を流布するデマも存在するかもしれないが、大半が悪行である。
我々には「正義による怒り」という厄介な感情があるため、知らない人が知らない人に行った悪行であろうとも、自分のことのように怒れてしまうのだ。
そして怒りは判断力を奪い、衝動性と攻撃性を増幅させるため瞬時にそれを信じ、「みんなでこいつをボコろうぜ」という狂暴な気持ちで拡散してしまいがちなのである。
現在、参議院選挙投票前だが、Xのおすすめ欄ではどの候補者がどのような公約を掲げているかではなく、どれだけ悪人であるかという情報の方が圧倒的に目につく。
もはや「全員悪人」というアウトレイジ選挙になっているように見えるが、これも怒りを煽るような情報の方が拡散されやすいせいだろう。
SNSを判断材料にするのも良いが、他のメディアに比べてこちらの正気を奪う情報が多いことは間違いないので、喜怒哀楽の怒が豊かな人はSNSを情報源にしない方が良い。
次回は7月29日更新です。
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