最近「ドーパミン中毒のガキ」、略して「ドパガキ」というネットミームが広がっているが、そこから「ドパガキ向け」という言葉が生まれてきている。
北野武が作中で英語がわからなくても「ファッキソジャップぐらいわかるよ馬鹿野郎」とキレたように、ドパガキの意味は知らなくても悪口を言われたことだけはわかる。
しかし昨今のコンテンツは少なからずドパガキ向けを意識しており、ドパガキにブっ刺さる作品は商業的には成功とさえ言える。
具体的に「ドパガキ向け」とはどのようなものかというと、冒頭から刺激的なことが起こり、次から次へと矢継ぎ早に刺激的なことが起こるコンテンツのことを指す。
つまり1コマ目で婚約を破棄された悪役令嬢が、2コマ目で別の男に溺愛され3コマ目で婚約破棄した奴が死ぬなど、一瞬たりとも「凪」の時間を与えない構成のことを指す。
我々漫画家がXに漫画を投稿する際、一番最初に最もエロいコマを載せようとするのも、まさに「ドパガキ向け」演出である。
実際、最近の漫画は1話目で客のドーパミンを出させなきゃダメみたいな風潮がある。5回目の来店でようやく発射みたいな花魁構成では、最近の読者はついてこないということだ。
顧客のニーズに合わせるのが商売なので、今の読者はそれを求めていると言われたら、できるだけそうするしかないのだが、常にバズを狙う展開を考えるのは作家も疲弊するし、それを見続ける読者の脳もどんどん溶けるという悪循環に陥りがちである。
また、息つく暇なく刺激的な展開が続き、修行パートですら人が2、3人死ぬような作品が長期的に見て面白いかというと、後半になるほどバラ撒きまくった伏線との矛盾が生まれ、それがほとんど回収されることなく唐突に終わってしまったりする。
それに対し読者が、序盤あれだけドーパミンを出させてくれたんだから、中折れ終了してもいいじゃないかと許してくれるかというと、バッチリ最終回で炎上したりする。
しかし、これはドパガキ読者のせいではなく、元はと言えば1巻で人気が出なきゃ2巻で終了など、見切りがやたら早い出版社のせいである。
そのため作家も序盤からとにかくドーパミン最優先の話を描くことになり、それを見た読者がドパガキ化していくという流れだ。
序盤がスローでもそこから面白くなりさえすれば、読者は支持してくれるはずなので、作家の健康と読者の脳みそのためにも、出版社はもう少し長い目で見てほしい。
だが、ここから面白くなるという作者の言を鵜呑みにし、10巻まで待つような出版社も営利企業として問題があるし、会社が潰れたら他の作家にまでとばっちりである。
連続絶頂させないと生き残れない業界は異常だが、今のご時世丸々1巻ノードーパミンでフィニッシュさせる無報酬作品が損切りされるのも、仕方ないのかもしれない。
次回は8月25日更新です。
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