『木曜日のシェフレラ通信 うこぎんの相談室』杉田真也 スクールカウンセラーによる子どもの心と向き合うコラム
第11回 正しい子育てってあるの?
エレガンスイブで連載中! Souffleでも公開中のマンガ「木曜日のシェフレラ スクールカウンセラー五加木純架」がもっとよく分かる。臨床心理士、公認心理師の杉田真也さんによるコラム連載です。
保護者の方の中には、「正しい子育ての方法」を知りたいと相談される方がいらっしゃいます。なかなかに悩ましい問題ではあるのですが、私が思っていることを書いていきます。
結局は子どもと親による
いきなり身も蓋もない話ですが、育て方は結局「子どもと親による」と思っています。
まずは子どもについてです。お子様が2人以上いらっしゃる方は、同じように育てていても全く違う性格になってしまったことを不思議に思っているのではないでしょうか。性格だけではありません。例えば勉強でも、聞いて覚えることが得意な子もいれば、体験して覚えることが得意な子もいます。巷に大量にあふれている育児書は、ある子にとっては正解であるし、別の子にとっては負担になってしまうのです。
一方、育てる側の親についてです。例えば「これが正しい子育てです!」と言われて、果たしてその方法通りにすることができるでしょうか。周りの人に子育てについて諭されて、「それが正しいってわかっているけれど、できないんです」と自信をなくして私のところにやってこられたお母さんに、今まで何度もお会いしてきました。子どもにも個性があるように、親だって生きてきた中で培われた個性があります。できないことだってたくさんあって当然です。逆に言えば、その人だからできる子育てだって必ずあるのです。
「この子育てが正しい」と信じすぎることは、子どもにとっても親にとっても悪影響になることがあります。「無理なく、楽しく」を目指す方が、結果的には良い子育てになるのではないかな、と思います。その中で問題点が出てくるのなら、それについてスクールカウンセラーなどに相談してみるとヒントになるかもしれません。
子育てで“おすすめ”したいこと
そうは言いましたが、私が考えている子育てで“おすすめ”したいことと、“確実に悪い”ことはあります。“おすすめ”したいことは「子どものやっていることに興味を持つこと」、“確実に悪い”ことは「体罰」です。
子どもがまだ幼児のときは、子どもがすること1つ1つに興味を持ちやすかったと思います。ところが小学生にもなってくると、「これの何が楽しいんだ…?」「またくだらないことして…」と感じてしまうことが増えるのではないでしょうか。何か将来に役立ちそうなことや勉強に関することをしているときだけ「あら、よく頑張っているね」なんて褒めてはいないでしょうか。
子どもはまだまだ会話で気持ちを伝えることがうまくできません。大人であれば、人に話すことで「ああ、わかってもらえた」と思えるでしょう。子どもの場合は会話の代わりに、遊びや絵や工作などで自分を表現しています。そして、それを信頼する大人が興味を持ってあげるだけで、子どもはまるで自分を肯定してもらえたような気持ちになるのです。その積み重ねが、本当の自信や自立につながっていくように思います。
実際には興味を持てなくても「俳優になったつもり」で、夢中になっている子どもに優しく話しかけてみてはいかがでしょう。もちろん、できる範囲で大丈夫です。
体罰の悪影響については書くことが山ほどありますので、次回のテーマにしたいと思います。またお読みいただけますと幸いです。
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