『木曜日のシェフレラ通信 うこぎんの相談室』杉田真也 スクールカウンセラーによる子どもの心と向き合うコラム
第13回 怖くてつらい体験をした子どもへの関わり
エレガンスイブで連載中! Souffleでも公開中のマンガ「木曜日のシェフレラ スクールカウンセラー五加木純架」がもっとよく分かる。臨床心理士、公認心理師の杉田真也さんによるコラム連載です。
平穏に生活していても、子どもは思いもよらない出来事にショックを受けてしまうことがあります。災害や大怪我をした時はもちろん、事件や事故を目撃したり、テレビでショッキングなニュースを見たりすることでも、それが子どもにとって怖くてつらい体験になり得ます。そして、そのような体験が、子どもにとって深刻な影響を及ぼしてしまうことがあるのです。
今回は、怖くてつらい体験をした子どもに対し、どのように関わることが良いのかお伝えしていきます。
心とからだに現れる反応
怖くてつらい体験をすると、子どもだけでなく大人であっても、心やからだに様々な反応が現れます。このような反応をストレス反応といいます。わかりやすいものでは、食欲がなくなったり、頭痛や腹痛が現れたりする“からだへの影響”、気持ちが落ち込んだり、イライラしたり、逆にはしゃぎすぎてしまったりする“気持ちへの影響”、落ち着きがなくなったり、強く甘えるようになったり、逆に反抗するような“行動への影響”、自分を責めてしまったり、悲観的になってしまったりするような“ものごとの捉え方への影響”があります。
怖くてつらい経験をしたあとに、このようなストレス反応が出てくること自体は、実は当然のことです。多くの場合は一時的なものであり、時間の経過とともに自然に落ち着いてきます。
安心、安全を感じる関わり
しかし、大人に比べて子どもは対処能力が十分に育っていません。そのため、ストレス反応による症状が長引いてしまったり、悪化してしまったりすることもあります。できるだけ早く症状をやわらげていくためには、子どもが安心、安全を感じられるような関わりが重要になります。例えば、次のような関わり方があります。
・親があわてず、落ち着いて対応する。
・いつもより一緒にいる時間を増やしてあげる。
・子どもが出来事について話したいときに、さえぎらずに最後まで聴いてあげる。ただし、無理に聞きだすのでなく、子どものペースにまかせる。
・からだの不調をうったえてきたら、ゆっくり休ませてあげる。
また、“子どもの気持ちにふたをしない”ことが大切です。「そんなこと考えなくていいんだよ」「あなたのことじゃないんだから気にしなくていいよ」と、子どもが話したいことを止めてしまうことは、つらい気持ちの処理をも止めてしまうことにつながりかねません。
一方で、出来事について必要以上に話させすぎることも適切ではありません。話せるようになるためには、こころの準備が必要なのです。大人は、話しやすいような雰囲気、話したくなったらいつでも話して良いというメッセージを与えてあげることに努めましょう。
まずは保護者が相談する
そうは言っても、自分の子どもがつらい状況に置かれると、保護者としてはどうして良いのか悩み、混乱してしまうことは珍しくありません。子どもにどのように対応したら良いのか、専門家に相談してみることも検討してみてください。スクールカウンセラーや、地域の教育相談センターなどが役立つかもしれません。また、出来事から1か月ほどたっても症状の改善が見られなかったり、むしろ悪化していたりするならば、児童精神科などの受診を視野に入れましょう。
次回は5月23日更新です。
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