『木曜日のシェフレラ通信 うこぎんの相談室』杉田真也 スクールカウンセラーによる子どもの心と向き合うコラム
第16回 どうする親子喧嘩?イライラしない、させないひとくふう
エレガンスイブで連載中! Souffleでも公開中のマンガ「木曜日のシェフレラ スクールカウンセラー五加木純架」がもっとよく分かる。臨床心理士、公認心理師の杉田真也さんによるコラム連載です。
子どもが小学生になると、だんだん親の言うことを聞かなくなってきます。我が子の反抗的な態度に、ついイライラして説教を始めてしまうお母さん、お父さんは多いのではないでしょうか。
また、小学生はまだまだ自分の気持ちを的確に伝えられない年頃でもあります。親の小言に対してうまく反論できないために、突発的に怒ったり癇癪を起こしたり…。親はそんな子どもを何とか押さえつけようとして、親子ともどもヒートアップ…。そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょうか。
このような親子のバトルが始まることを少しでも減らすために、今回は子どもが言うことを聞かないときのひとくふうをお伝えしていこうと思います。
まずは子どもの“気質”を受け入れる
例えばお兄ちゃんと弟の2人兄弟、お兄ちゃんは生まれたときから穏やかで人見知り、一方で弟はずっとやんちゃで目を離すとすぐにどこかに行ってしまう…、なんて話をよく聞きますね。いろいろな人や環境の影響で出来上がっていく“性格”の前に、人間には生まれ持った個性である“気質”というものがあるといわれています。そして、そんな気質を無理やり矯正しようとしてもうまくいかないものです。まずは生まれたときからの子どもの“気質”がどんなものだったか思い出してみてください。そして、「こういった気質だから、まあ仕方ないか」と、大目に見る心構えを持つことが、なかなかに大事であると思います。
注意することを見極める
子どもに1つ注意をすると、他のことにも次から次へと注意したくなってしまうことはないでしょうか。親だって当然ストレスはたまっていますし、ゆとりがないときもあるでしょう。しかし、なんでもかんでも怒っていると、子どもはかえって反抗的になったり、あるいは無力感を持ってしまったりします。親の方も、なんだか怒ってばかりで嫌な気分になってしまいませんか。
そこで、子どもの行動を大まかに3つに分けてみることで、対処を考えやすくなります。“好ましい行動”、“好ましくない行動”、“危険な(許しがたい)行動”です。“好ましい行動”とはその名の通りで、もっと増やしてほしい行動です。ちょっとしたことで結構です。親に言われる前に宿題を始めたり、学校であったことを話してくれたりしたとき。このような行動に対しては、少しだけでも褒めてあげられると良いでしょう。
“好ましくない行動”は、できれば減らしたい行動です。例えば宿題をするように言ったお母さんを無視して漫画を読んでいる。こんなとき、毎回のようにお母さんが叱っていても、なかなか改善は見込めません。それよりも叱らずに待ち、本人が自分からやりだしたときにすかさず褒めるのです。やってほしくない行動にはあまり注目せず、やってほしい行動に対して注目をしてあげることが原則です。
“危険な(許しがたい)行動”は、暴れたり、他人を攻撃したりすることです。この場合はきちんと注意をしたり、制限を設けたりすることが重要です。不必要に怒鳴るのではなく、どのような行動をとることが正しいのかを、毅然とした態度で伝えることも大切です。逆に言えば、“危険な(許しがたい)行動”以外はおおらかな気持ちで見てあげられると良いですね。
I(アイ)メッセージで親の気持ちを伝える
そうは言っても、親だって言いたいことはあります。いつも大目に見るとは言っていられないでしょう。そんなときに役に立つのが“I(アイ)メッセージ”です。子どもに何か言うときに、つい命令口調になってしまうことがあります。例えば「早く片付けなさい」のような言い方です。このような言い方は“Youメッセージ”と呼ばれ、ときに相手の反発を招いてしまいます。そこで「(あなたは)早く片付けなさい」の主語を”私”に変えて文を作り変えてみるのです。すると「(私は)片づけると良いと思うよ」、もっと言い換えると「(私は)片づけてもらえると助かるな」のようになります。こうすることで、 “私”の気持ちを伝えることが主となり、相手に強制するような印象がなくなったように思えませんか? 子どもだって、大人と同じで命令されたり強制されたりすることには反発したくなるものです。I(私)メッセージを取り入れてみると、親子のコミュニケーションが穏やかになるかもしれません。まずは、普段言いがちなYouメッセージを紙に書いてみて、どんなIメッセージに変換できるか考えてみると良いでしょう。
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