#8 トンズラするなら、誇り高く。|ぱぷりこ | Souffle(スーフル)
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コラム 2018.12.27

『逃げることは戦略である』 ぱぷりこ 暗黒大陸みたいな場所にとどまらないために。

#8 トンズラするなら、誇り高く。

「逃げてもいい」「逃げることは悪くない」と言われても、具体的にどうすればいいの?「妖怪男ウォッチ」のぱぷりこさんによる、実践的戦略コラム!

自分のリソースを知ると「自分と他人は違う」とわかる

また、リソース確認を定期的にしていると「自分がどういう人間か」「なにを持っていて、なにを持っていないのか」をはっきり自覚できるようになります。そして、自分の輪郭がくっきりしてくると、自分と他人の差もはっきりわかるようになります。

ゲーム内では、ステータス一覧を見れば、パーティーを組むメンバーのHPもMPも装備も違うことがすぐにわかります。HPが落ちているメンバーがいたら回復させるし、MPが強い魔法使いとHPが強い戦士を同列に扱うなんてことはしません。やったらアホです。

しかーし!現実世界では、アホなことがいくらでも起こります。なぜなら「自分と他人のステータスが違う」ことが一目見てわからないから!

「これぐらい誰でもできる(自分基準)」「常識でしょ?(自分基準)」といった呪いを振りまく人たちは、「私と他人はHPもMPもステータスも装備も同じ」「だから他人は自分と同じようにできるし、やるべきだ」という前提で発言しています。

よくあるのが、パワハラ上司のケースです。多くのパワハラ上司は「自分と他人は同じ条件だし、同じように行動するべきだ」と考えています。そのため「なぜできないんだ」「俺は毎日残業ぐらいやってた」「若い頃ならできるはず」と、「自分と同じことをやれ」「できるはずだ」と押し付けてきます。体力があるパワハラ上司が、あまり体力がない人にこれをやると、簡単に地獄ができあがります。「自分と上司はリソースが違う」と理解していないと、「上司の言うとおりにできない」「自分は落ちこぼれだ」と、自己評価をがんがん下げてしまいます。

「毒親」でも、似たケースがあります。「親は大事にしないと」「子供を大事にしない親なんていない」と言う人は、「自分と他人が同じ」前提で話しています。これもまた「あのひとの親は毒親じゃないから、持っているものが違う」と理解していないと、「親を愛せない自分が悪い」「他の人と同じようにできない」と自分を追い詰めてしまいます。
そして、「自分と他人のリソースは違う」とわかっていないと、簡単に彼らの呪いに飲み込まれてしまい、「自分が悪いんだ」「皆ができることができない」「自分は弱い」「欠陥人間だ」と自分を追い詰めることに。

「自分を知る」ようになると、「あれ、でも彼が言う前提と私の前提が違うな」「条件が同じじゃないな」と、「自分と他人の前提が違う」ことがわかってきます。

「自分」を知ることが、「誇り高いトンズラ」に直結する

この「自分と他人は違う人間であり、条件も考え方も違う」という区別は、「逃げる戦略」において、決定的に重要です。

「私は他人とは違う人間であり、違うリソースを持っているから、自分のために環境を選ぶ」と、「自己評価を高く持ちながら逃げる」ことができるようになるからです。

「逃げる」行為は、周囲のみんなと違う行動をとることです。「つらいから逃げる弱虫だ、みんなと同じことができない負け犬だ」と自己評価を下げまくって逃げるのと、「私は、周りの人と条件が違うから、戦略的に離脱する」と自尊心を持って逃げるのでは、同じ「逃げる」でもぜんっぜん違います。

「負け犬」「だめ人間」と言ってくる人は、絶対にいます。その呪いを「そのとおりだ…」と直撃で受けてしまうか、「いや、あなたと私は違うから」とスパッとブロックできるかは、「自分をよく知っているか」「自分と他人が違うことを知っているか」にかかっています。

自己評価をめっきめき下げて逃げるの、いやですよね?みんな、誇り高くトンズラしたいですよね?

だったら「リソース確認」です。いつでもどこでも「自分はいまこういう状態だよね」と理解できるようになるまでには数をこなす必要がありますので、定期的に「自分はこういうリソースがある」「逆にこのリソースが足りていない」と確認するようにしましょう。

次回は1月3日更新です。

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「逃げてもいい」「逃げることは悪くない」という言葉を聞く機会も増えてきたけれど、具体的な「逃げ方」についての話がまだ足りていない気がする…。「勇気」があればどうにかなるほど魔窟は甘くない。逃げようと勇気を振り絞った瞬間、足元を救われないための「具体的な戦略」コラム。

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