『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?
#163 社会人になる前に、SNSとの付き合い方
社会人になる前に、SNSとのじょうずなお付き合いの仕方。
引き続き、これから社会人になる人へのSNSとのつきあい方の話である。
何故こんなにツイッター川が濁っているか、というとみんながここでゲロを吐いているからである。
それもたまたまここに吐いたというわけではなく、リスみたいになっている奴がわざわざツイッターまで走って行き「セーフ!!」と叫んで盛大に吐いているのだ。
もちろんツイッター川に吐かれるのはゲロだけではない、良い話や含蓄のある話も投下されている。
しかし、なぜか5000リツイートを越えたあたりからまたリス面が走って来て「嘘松www」や「それあなたの感想ですよね」など、リプ欄にゲロを吐き始めるという怪現象が起きはじめる。
このように、最初からゲロか、元は良い話だったゲロしかないツイッターだが、人命を救助した話から尻にフリスクを入れた話まで、何でも受け止めてくれるのがツイッターがガンジス川と呼ばれる所以である。
つまり、ツイッターに愚痴などネガティブなことを書くのは必ずしも悪いことではない。
それは社会人になっても同様であり、むしろツイッターに仕事の愚痴を吐く程度ですっきりし、会社の便所でリアル嘔吐をしないで済むならジャンジャン吐いた方がいい。
しかし、ゲロを吐くにも気を付けなければいけないことはある。
まず大事なのは「解像度の高いゲロは吐かない」という点である。
見た瞬間「こいつすき屋でチー牛してきたな」とわかるような原型の残ったゲロをツイッターに吐いてはいけない。
具体的には、会社名や愚痴を言っている相手が特定されかねないような愚痴を書いてはいけない。
書く時は「会社」「部長」「社長の愛人」など、どこにでも存在する普通名詞や役職使って特定をされないようにしよう。
ただし「中尉」や「軍曹」など若干変わった役職が出てくると「これ第七師団のことじゃね?」と勘付かれてしまうかもしれないのでその場合は「上司」などさらに解像度を下げるようにしよう。
つまり、愚痴などネガティブなことを書く場合は、元が何であろうと「もんじゃ焼きにしか見えん」というレベルにしてからつぶやくようにしなければいけない。
だがどれだけ原型不明にしたとしても、つぶやかない方が良いのは「客」についての愚痴である。
これは「接客業が客の悪口を書くな」というだけの意味ではない。
企業には基本的に「取引先」や「顧客」そして「ターゲット層」というものがある。
先日、子供向け玩具メーカーの公式ツイッターが女児を対象とした犯罪を匂わすつぶやきをして大炎上したが、これだけの大火事になったのはもちろんその企業の「客」である、子どもやその親を不愉快にさせるつぶやきをしたからである。
よって企業に入社したら、その会社の「客」は何かをしっかり把握し、客に関しては愚痴はもちろん「冗談」すら言わない方が良い。
むしろ愚痴という自覚があれば、鍵アカにしたり特定を避けるようにしたりと用心すると思うが「冗談」の場合は逆に「1人でも多くにこの大爆笑児童犯罪ギャグが届きますように」という勢いでつぶやかれるので燃え広がりかたも大きくなってしまう。
ツイッター川は大概のことは受け入れてくれる場所である、故につい何でも吐き散らかしてしまいそうになる、がそれでも吐いてはいけないことも存在する。
それを見極め「リス顔からの飲み込み」ができなければいけないのだ。
次回は12月14日更新です。
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