私は一応宣伝という名目でXをやっているため、「職業が漫画家で、ここでこんな作品を連載していて、ペンネームがカレー沢薫」という自己紹介の時点で、ややスベリしている情報を開示してSNSをやっているのだが、普通、個人情報は出せば出すほど何かあった時のリスクが高まる。
特に「職業」というのは、場合によっては名前よりも危険度が高い。
発言によっては「お前がそれを言うか」と、さらなる批判を浴びてしまうからだ。
前にも、ホビー雑誌の編集だと職業と所属を明らかにしているアカウントがプラモなどの転売を擁護する発言をして、一発退職処分という被雇用者に優しい日本らしからぬ制裁を受けていた。
また職業を明らかにした上で問題発言をすると、「この業界の人間はみんなそう」というクソデカ主語現象が起き、業界や同業者からも敵視されることになる。
よって私もあまり不用意な発言をすると、漫画家全体への風評被害になりえるのだが、幸い最初から漫画家は社会性が高い生物と思われていない上、協調性に乏しく連帯性が感じられないせいか、1人暴れたからといって、「これだから漫画家は」という話になっているのはあまり見たことがない。
さらに漫画家の場合、「漫画家です」とだけ名乗って、ペンネームや作品名を明かさずSNSをやることはほぼない。あったとしたら目的が不明すぎて怖い。
よって、何かあったとしても漫画家全体ではなく、その作家個人の性根が腐っているという捉え方になる。
しかし、「飲食店勤務」「農家」など、職業だけ明かしているアカウントもあり、その職業ならではの知見や日常などを投稿していたりするのだが、中には仕事上の愚痴をつぶやいているアカウントもある。
おばあさんの口がでかいのは赤ずきんを食うためなのと同じように、Xがドブ川なのは汚いものを吐きやすくするためだ。
おかげで水質は悪くなる一方だが、X如きが汚れる程度で、現実世界で刃物を振り回す奴が減るなら安いものである。
しかしSNSには不特定多数の人間の目に触れるという欠点があるため、吐いた愚痴が他人を傷つけることもある。
特に「教師」や「医者」などの愚痴は、「うちの先生も本当はそう思っていたんだろうか」と似たような立場の当事者を落ち込ませてしまう場合もある。
普通の店でも客の悪口をSNSに書くのはご法度という考えもある。さらにセンシティブな関係である「生徒」や「患者」の悪口を具体的に書くのはかなり危ない。
つまり、漫画家もSNSに読者の悪口だけは書かない方がいい、ということだ。
ただ、「俺の漫画が評価されないのは読者がバカだから」と言い出す漫画家は、燃やさなくても自然に消えると思うので、逆にそっとしておいてほしい。
次回は11月18日更新です。
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