ただでさえリアルよりもカジュアルに他人に暴言を吐けるツイッターで「嫌いボタン」というより手軽かつ合法で他人を攻撃できる機能がついたらたいへんなことになる、と言って来たが、暴言のみならずどんなことでも口頭より電子機器を介した方が言いやすいのである。
リアルでは、どれだけ自分が小学五年生男子キャラの膝頭が好きか時に嗚咽を交えて熱弁できるが、ネットでは言葉どころか空とメシと足元の写真しか挙げられないという人は少数派のはずだ。
多くの人が現実よりもネットの方が言いたいことを言えるのだが、その言いたいことを言った結果が他人にとってポイズン、ということがよく起るのだ。
見つめ合うと素直におしゃべりできないあの子とも、LINEだったら普通に話せるし、なんだったら小粋なジョークで楽しませることも出来ちゃうという、というつもりで生まれているのが「痛いオジサンのLINE」である
しかし、現実よりも気軽にお気持ちを言語化できる、というのはむしろネットの大きなメリットである。
手軽に他人を嫌な気分にさせることもできるが、気軽にいい気分にもさせられるのである、そういう手軽さはどんどん利用していくべきだろう。
例えば「イイね」だって「嫌い」ボタンのニュースのせいで「貴方のつぶやきナイスですね」という称賛ではなく「俺様のお眼鏡にかなった」という己の好み表明説が出てしまったが、肯定には違いなく、指一本で肯定したい人を肯定でき、相手を喜ばせられるならどんどんした方が良い。
また、「ありがとう」や「ごめんね」も対面では無理だが画面越しなら言えるというなら、それでいいから言った方がいい。
大事なことは直接言うべきという風潮もあるが、直接言うことにこだわると「そう思いながら結局言わない」ということになりがちであり、礼も謝罪も言えない奴と思われるので、とりあえずメールやDMでいいからしておくに越したことはない。
また不仲な親とのやりとりをメールにしたことにより関係が改善したという例もあるようなので、対面のコミュニケーションでないほうがかえって良い場合もある。
このようなネットの「気軽に言えちゃう」というメリットはどんどん利用していくべきだろう。
ツイッターで推しや神絵師を称賛するリプを直接送りたいが、キモイと思われそうできないという悩みを持っている人は多いと思う。
しかし、もしこれを対面で言おうと思ったら、同人誌即売会場の相手のスペース前で新刊を胸に抱き、15秒ぐらい目頭を押さえたのち「ンフゥー………(35秒)好き…です」となってしまう姿が容易に想像できる。
それがツイッターなら「好きです応援しています」と変な吐息抜きで伝えられるし、プロフィールに「相互フォロー以外は話しかけるな」という何故鍵アカにしないのか不思議なことが書かれていない限りは、突然話しかけることが罪ではない。
つまり「キモイと思われそうで推しにリプできない」ではなく「SNSで推しにリプできないなら、推しにキモイと思われずに好意を伝えられる場所などどこにもない」ということである。
もちろん、影ながら応援するというのもありだ。しかしせっかくのチャンスなら利用してみてもいいのではないだろうか、何より推しが喜ぶ。
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