先日会った友人が、アイドルのオーディション番組の話をしてくれた。
100人近くいる候補者の中から、視聴者投票などで選ばれた上位がデビューできるという、今のアイドル業界では珍しくないファンの応援が物を言うシステムだ。
その友人が推していた候補者は落ちてしまい、アラフォーになって「一般人男子」を推すことになってしまった、という話は来世にでもするとして、その番組のルールに「SNSはやってはいけない」というのがあったそうだ。
アカウントが発覚するとペナルティがあり、それで脱落した者もいたという。
芸能人でもSNSをやっている人は少なくない。SNSというのは無料で手軽に始められ、ファンに直接情報を届けられる、貴重な宣伝ツールである。
それをやらないというのはもったいないのだが、再三言っている通りSNSというのはリスクも多い。
不用意な発言で炎上したり、カジュアルに非公開の情報を漏えいしてしまうこともある。
SNSで恋人の存在がバレるぐらいならまだ良いが何の気なしに挙げた自撮りから住所が特定され犯罪に巻き込まれることもある。
そうかと思えば生理用品が写りこみ「生理用品があるということは非処女だ」と男が騒ぎだすと言う「日本は終わりだ」と世界に知らしめる騒動に発展してしまったりもするのだ。
だがこれらのリスクは「SNSを一切やらない」ということで回避できる。
もちろん本人がやらなくても、つきあっている相手が己のSNSに、ウンコ漏らしてる級の匂わせツイートを連投しはじめるという変化球もあるので完全ではないが、ある程度は回避可能だ。
よってSNSをやるメリットよりも、リスク回避のために所属タレントに個人でSNSをやらせないという方針の事務所も少なくはないはずだ。
企業アカウントでも、ツイート一つするにも、上の許可を取ってから、というところもある。
当然、ハンコを押す奴のコンプラが崩壊していたら無意味であり、10人中9人が「燃える」と判断しても1人が一番偉い奴だとそのまま投稿され、美しく燃えるのだが、個人が1人でやるよりはリスクが低い。
だが一番リスクが低いのは「やらない」ことである。
芸能人や企業だけでなく、我々一般人も「SNSはやらない」という方針はありである。。
SNSだけでなく、あらゆることの最大のリスク回避方は「やらない」ことなのだ。
どうやって、台風の中無事に会社につけるかを考えるより「行かない」のが最善なのと同じである。
SNSを1個もやってないというと「えーww」と煽られるような昨今ではあるが、やらないからと言ってどうということはない。
犯罪に巻き込まれたり炎上したりしなくても、依存してしまったり不愉快なものも目にしてしまったり気づいたら学級会の主役になっていたりということは良くある。
それらのデメリットを考えれば「やらない」というのは十分賢い選択肢なのだ。
周囲とのコミュニケーションのためにSNSぐらいはやっておかないとと思うかもしれないが、インスタをやっていなかったおかげで、ママ友同士のぶっちぎりマウンティングバトルを回避できたということもある。
そしてやったとしても、会社の人間などに「SNSとかやってないんですか?」と聞かれた時に、瞬時に「やってないです」と答えられる「やっていない設定」で行くのも時には大事である。
「SNSとかよくわからない」と言っている人を我々は「情弱」と笑うかもしれないが、ある意味、どうでも良いリスクを未然に防いでいる利口な人とも言えるのだ。
次回は1月14日更新です。
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