カレー沢薫、あのユーチューバーに怒る|ほがらかSNSライフ | Souffle(スーフル)
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コラム 2020.07.28

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#93 カレー沢薫、”あのユーチューバー”に怒る。

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

あの事件の現場から。

ほがらかSNSライフ約二回ぐらいにわたり「怒り」をコントロールすることがSNSのみならずハッピーライフのトロであるという話をした気がする。

まず、SNSで腹の立つ話を見ても、自分に関係ないことや、自分が怒っても仕方がないことでは無駄に怒らない、怒るにしても、怒ると決めた時には相手の個人情報を晒し終わっているというプロシュート兄貴仕草をするのではなく、せめて6秒我慢して行動と言葉を選び適切に怒るようにした方がよいということだ。

ともかくあまり怒らないようにすることが重要だ、SNSに撒かれている怒りなど、自分に直接関係あることの方が少ないのだ。

そう思っていたら、自分の関係ある超弩級のニュースが流れてきた。

簡単に言えば、コロナに感染したユーチューバーがわが県にやってきて、せっかく選挙も開票1秒で結果が決まってしまうような保守的すぎる県民性を生かしてあまり感染者を出さずにやってきたのに、すでにそのユーチューバーに接触した人の感染が数名確認されているという。

まさに「県知事もフリップ片手に名指しで怒るレベル」だったため、ここ数日我が県民は軒並み怒っていて、もちろん私も怒っている。

だが、せっかく怒っているのだから、実際この怒りにどう対処していくべきなのか考えたい。

まず、自分に関係あって怒る権利があるか、というと関係あるし、故意に自分の身が危険にさらされる行為をされたのだから、怒っても良い、と言える。

そういう怒りは我慢する方が健康に悪いしイライラしている時間が無駄なので、ゲロと同じで吐き出してすっきりした方が効率的と言える。

むしろ、SNSはそういう怒りを吐き出すための場としての役割もあるのだ。

しかし、怒る権利を「攻撃する権利」と勘違いしてはいけない、よって怒るのは良いが、本人や接触者や家族の個人情報を晒したり、直接過度な攻撃を加えるような書き込みをしてはいけない。

正当性はあってもゲロはゲロなので、見た人が不快になってしまうのはある程度しかたないかもしれないが、必要以上に「他人の目に染みるゲロ」は吐かない方が良い。

例えば「本人も接触者もそのまま死ね!」という八神庵みたいなつぶやきは、多くの人の偽らざる本音かもしれないが、それを見た人に「この人は、他人に平気で死ねとか言える人なのだ」と思われてしまうこともある。

イライラさせられた挙句、自分の評価まで下げる結果になる、というのは全損でしかない。

よって怒りをつぶやく時は前述の6秒待ちだ、6秒でなくても良いが怒りをそのまま書きこむのではなく、ちょっと間を置いて、冷静に書くことが大事である。

そしてある程度怒ったら、早めにもう考えないようにすることが大事だ。

自分が怒ることで感染が止まったり、相手のタートルネックが徐々に締まるシステムなら良いが、残念ながらそうではない。

いつまでも怒るというのは、相手のせいで時間まで無駄にさせられるということだ。

最後に、手っ取り早くネットで注目を集めたいという欲求は、最終的にこういうことになってしまうのだ。

行きつく先は殺生院、快楽天BEAST!なら良いが、現実は多くの人間に迷惑をかけて逮捕である。

読者にわからないことを書くなと言われているが、そんなことはどうでもいい、俺は今怒っているのだ。

このように、怒りをコントロールできなければ、他全てがコントロールできなくなってしまうのである。

次回は8月4日更新です。

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OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。しかし、唯一無二の居場所のSNSには炎上、マウンティング、キラキラ女子など、闇も広がっているのです。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方コラム。

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