フォロワー整理がもたらすもの|カレー沢薫 | Souffle(スーフル)
公式Twitter 公式Instagram RSS
Souffle(スーフル) Souffle(スーフル) 息、できてる?
コラム 2021.02.02

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#119 フォロワー整理がもたらすもの

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

一億総SNS時代の戦略!

ほがらかSNSライフやはりSNSを長く、ストレスなく楽しむなら、定期的なフォロワーの整理は不可欠である。

フォローしたあと、自分と主義主張が真っ向から対立しているとわかった相手を惰性でフォローし続けるというのは、目の前に相手のケツがあるのに、そこを微動だにしないのと同じだ。

それにもかかわらず、屁、最悪実弾を発射されてから、怒りだすというのはお門違いである。
そうなる前に、その場を後にする(リムーブ)もしくは、発射口にセメダインを流し込む(ブロック)など、自衛をしていかなければならない。

また、フォローを整理することで、改めて自分の性格や価値観を理解することも出来る。
「己を知る」というのはとても大事なことで、これがわかっていないと、同じ過ちを繰り返したり、無駄なことに時間や労力を費やすことになってしまうので。

フォローを見直すことで、それがわかることもあるし、上手くいけば「ツイッターが一番時間と労力の無駄」ということに気づくことが出来る。

私も先日フォローを整理したのだが、そこで私は「作品」が好きだと、軽卒にその「作者」をフォローしてしまっているということに気づいた。

作者のパーソナリティや顔が好きでフォローしているなら良いのだが、作品が好きでフォローするとどうしても、作者のつぶやきに作品や作品情報や求めてしまいがちになる。

しかし、平素仕事で絵を描いているような人間が、いわば趣味であるSNSでまで絵をコンスタントに描くものか、という話であり、全く作品を載せたり、作品に関するつぶやきもなく、ひたすら日常をつぶやいている場合もあるのだ。
そうなると「知らないオジサンをフォローしている」のと大して変わらなくなってしまう。

もちろん、漫画家には仕事で絵を描いてプライベートでも絵を描くという変態が多いのだが、仕事で描いている自キャラなどプライベートでまで描きたくないので、延々全く知らないゲームのキャラの絵とそのキャラの話ばかりしているタイプもいる。

つまり、作者の人となりにも興味があるというなら問題ないが、作品を期待して作家をフォローすると、高確率でズッコケることになり、勝手にフォローしたくせに、勝手に思ってたのと違うとフォローをはずしてしまうことが多いのだ。

つまり私は、作品には興味があっても、中の人にはそんなに興味がないのだから、作品が好きだからと言って脊髄反射で作者をフォローをするのは今後やめた方が良いとわかった。

それと「情報系アカ」である。
料理レシピとか、お役立ちテクニックとか、有益なことをつぶやいてくれるアカウントは多い。
それをフォローしておけば自動的に我がTLに役立つ情報が流れてきて便利、と思い、すぐフォローしてしまうのだが、そのお役立ち情報を「全く実践していない」ということに気づいた。
どんなに有益でも使わないなら無益と同じであり、TLに無益情報が延々流れ続け、結局フォローを外すことになるため、そういう情報系アカもむやみにフォローしない方が良いとわかった。

そうやって整理した結果、私のフォローはかなり減ってしまったので、今度は新しくフォローを増やそうと思ったのだが、人間に興味がない、有益情報も無益に変えるだけの空虚な人間ということがわかってしまったため、何をフォローしても楽しくない気がしてきた。

このように、自分のことがわかり過ぎるのも問題なのだが、私が己を見つめ直した末に新しくフォローしたのが「猫アカ」である。
空虚な中にも「猫」という星があることを改めて確認できた、やはりフォローは定期的に整理するべきである。

この連載が「一億総SNS時代の戦略」というタイトルで書籍になります!2月16日発売です。

次回更新が気になった方は、公式Twitterをフォローして更新情報をチェック!

前の回を読む 次の回を読む

コミックスを購入

国家の猫ムラヤマ

カレー沢薫 既刊コミックス『国家の猫ムラヤマ』

紙書籍

2XXX年、人間は絶滅しかけ、どうぶつ達が政権を握るようになった日本。投票率0%で続投決定のムラヤマ総理大臣(ツシマヤマネコ)が国を統治する!! 日本の問題点をあぶり出して燃やす、社会風刺行政ギャグ!! 時事ネタひとコマ漫画「文化庁チンアナゴ長官」も同時収録!!

他の回を読む

OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。しかし、唯一無二の居場所のSNSには炎上、マウンティング、キラキラ女子など、闇も広がっているのです。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方コラム。

ご感想フォーム


    『一億総SNS時代の戦略』の紙書籍を購入