Twitterで起こることなどすぐ忘れる、と言ったが、去年一つだけ忘れたくも忘れられない、今も生々しい純粋な「恐怖」を感じた事件があった。
Twitterには昔から「検索」という機能がある。
これで「猫」など検索するとTwitter内で「猫」についてつぶやいている投稿が表示されるという寸法だ。
これでTwitterに投稿された猫写真見放題、と言いたいところだが何故か「猫耳をつけた人間のメス」が表示されることもあるため、おキャット様写真が見たければ、もう少し検索ワードの精度を高める必要がある。
この検索機能は、自分の気になるトピックについての情報を集めたり、気に入らない有名人がいるが、自分では悪口を書きたくないので、検索で他の人間が言っている悪口ツイートを見つけ「RTにて私のご意見とさせていただきます」がやりたい時になどにも使うが、最も重要な使い道は「エゴサ」である。
この検索で自分の名前を検索すれば、リアルタイムで自分についての呟きが表示されるのだ、もはやエゴサのために生まれた機能と言っていい。
その検索機能が去年「時系列順に表示されなくなる」という不具合が起こった。
普通つぶやきは新しいものから順に表示されるはずなのだが、古い物の方が前に出たりと順番がバラバラになったのである。
この時点でかなりの早口になっているのだが、人によっては何に興奮しているのかさえわからないと思う。
だがこの検索結果が時系列に表示されなくなったことにより、エゴサで新鮮な俺に関する他人のつぶやきを摂取しようとしているのに、永遠に古い呟きがトップに出てきたり、最悪「自分のつぶやき」がトップに来るという「てめえは自分の指でもしゃぶっているお」状態になってしまったのだ。
簡単に言えば、この時系列不具合により「エゴサーチャーが死んだ」のである。
この不具合は一時期「仕様変更」と報道されたため「Twitterが本気で俺たちを殺しにきた」と泡を吹いて倒れてしまったが、のちに「不具合」であることがわかり、Twitterもそこまで猟奇殺人鬼ではないということがわかり安心した。
つまり、エゴサをする人間以外は、そんなことが起こったことすら知らないと思うが、阿鼻叫喚になったのは、エゴサで承認欲求を満たすしかない教室の隅でカーテンと一体化している陰キャだけではない。
エゴサをしている芸能人たちが時系列表示が狂ったことで咽び泣いているというニュースがネットで報道されたほどだ。
まずそんなことがニュースになってしまうこの国の是非を問いたいと思うかもしれないが、そんなものは非に決まっているので、問う方がまず質問の愚かさを問われるべきだ。
このように、検索機能という名のエゴサ機能が狂ったせいで、想像以上にみんなエゴサを「やっとる」ということが判明した次第だ。
エゴサをしない人間は関係ないと思うかもしれないが、これは自分が誰かについて名指しでつぶやいた際「本人が見ている可能性が高い」ということを意味する。
たまにテレビの出演者に文句を言う感覚でTwitterに文句を書いている人がいる。
テレビの場合は画面の中の人がそれに気づき「今俺の悪口言っただろ」と言ってくることはないが、Twitterの場合は、それがあり得る、少なくとも「悪口に気付いている」可能性は高いのである。
「悪口を本人に聞かれる」と言うのは普通に考えて最悪ではないか。
Twitterに悪口を書くときは、名指しはもちろん、ちょっとボカした程度ではプロのエゴサーチャーは発見してしまう恐れがある。
悪口自体やめた方が良いが、どうしても言いたい時は「名前を口に出してはいけないあの方、最近調子に乗ってるよね」ぐらい、誰だかわからなくしてから呟こう。
次回は1月25日更新です。
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