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コラム 2022.03.22

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#177 ネットユーザーとしての来歴

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

最新話更新!

『ほがらかSNSライフ』読者の中には未だに私が何者かわからず、一体どの立場からネットやSNSに物申しているか、と思っている人もいるだろう。

ここで私の作家としての経歴や著作物を並べても「一つも知らん」で終わってしまい、ますます偉そうなことを言っている謎の人物になってしまうだろう。

よってネットユーザーとしての来歴を言いたいと思う。

17歳の時自宅にパソコンがきたことによりインターネットデビュー、学力が著しく低下、95%が大学へ行く進学校で進学を断念。
専門学校卒業後、就職するも気づいたら業務用パソコンでネットをしている大型新人として注目を浴びる。
Twitterとの出会い、本格的に仕事ができなくなり事実上解雇で会社を退職、完全に社会からドロップアウト、現在は自宅で一日17時間スマホを擦りながら62時間Twitterを嗜む生活を送る。

典型的ネットによって人生が破壊された人の人生であり、これを見るとやはりネットは恐ろしい、青少年にネットをやらせすぎてはいけないという考えになると思う。

だとすれば、某うどん独立国家が出したようなネットを規制する条例を出すのが正しいということになってしまうが、それも違う。

覚醒剤はどう使っても悪く、ひきこもりだった僕が覚醒剤と出会って人生がさらに悪い方向に変わった、ということはあっても好転することはないので、法律での規制が必要だ。

しかし、ネットはそのものが悪いわけではないのだ。
私の人生はネットに壊されたのではなく、ネットを使って私が壊したにすぎない。
よってネットに出会ってなかったとしても、私は別の鈍器を使って人生を破壊していたに決まっているのだ。

覚醒剤と違い、ネットやスマホは使い方さえ間違えなければ、便利で良い物なのである。
法で規制するということは、それを「有害なもの」と認定してしまうことであり、ネットをよく知らない大人が「お上が有害と認めてるんだからやめろ」と言えるようになってしまうのだ。

ネットを使うことにより、初めて学習の機会や、他人とのコミュニケーションができるようになった青少年に対し「そんな有害なものを使うな」とネットを取り上げてしまったら、むしろ青少年の人生を再デストロイすることになってしまう。
つまりネットやスマホを長時間やることが問題ではない、大事なのはネットやスマホで長時間何をやっているのか、なのである。

ファミコンを8時間やっていたらそれはファミコンを8時間やっている、としか言いようがないが「パソコンやスマホを8時間やっている」という場合は、それで遊んでいる場合もあるが、それで仕事や勉強、貴重な他者とのコミュニケーションをしている場合もある。

つまりスマホやパソコンを奪うことで、逆に子供にとって必要な時間を奪ってしまう可能性もあるのだ。

よって子供が長時間パソコンやスマホを触っていても、時間だけを見て頭ごなしに叱り、パソコンやスマホを取り上げない方が良い。
まず、スマホやパソコンで一体何をやっているのか、を確認してから方針を決めよう。

ちなみに私がスマホで17時間何をやっているか、というと「ウマ娘」である。
子供がそういう使い方をしている場合は、私のネット来歴を見せたのち、迷わずうどん国家条例を採用、もしくはスマホを便所に流そう。

次回は3月29日更新です。

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OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。しかし、唯一無二の居場所のSNSには炎上、マウンティング、キラキラ女子など、闇も広がっているのです。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方コラム。

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