これを書いている時点で全国的にアツいニュースと言えば某A市民46万人の個人情報が入ったUSBが紛失されてしまったという件だろう。
USBと言えば映画「High & Low」で琥珀さんに握られていたのが最後の仕事だと思っていたので、いまだに現役で使われていたことがまず驚きである。
だが、先日の4360万誤振込事件では「フロッピー」が使われていた説があるので、それに比べればUSBは最先端が過ぎるし、正直弱い。
しかし紛失した経緯はかなり強い。
今朝見たニュースによると、給付金関係の振込を委託された業者が市の許可なくデータをUSBに入れて持ち出し、それを鞄に入れたまま飲み屋へ、3時間ほど痛飲ののち、路上で就寝、午前3時に起床し、USBを入れたカバンを紛失していることに気づいたという。
ちょっとダイナミックすぎて「日本では実写化不可能」と言われてしまうタイプのシナリオなのだが、それをノンフィクションでやられてしまうと我々作家はおまんま食い上げである。
4360万誤振込からの返却拒否、全額ギャンブル溶かしという流れもすごかったが今回もなかなかである。
最近の国の不祥事には相当腕のある脚本家がついたとしか思えない。
この件に関し「けしからん」というのはおキャット様を見て「可愛い」もしくは「神」と言うぐらい誰にでもできる。
むしろけしかってない部分を探す方が困難だ。
しかし総合的に見ると「こんなことが起こるわけがない」という話になっているが、部分で見ると意外と「誰にでも起こりうること」なのである。
電車で吐くかもしれないと思っている人間の鞄にはビニール袋が常備されているが、「この俺様が吐くわけない」と思っている人間の鞄には入っていない。
そういう人間がもし吐くことになってしまったら、そこには「鞄or重ね合わせた手」という地獄の二択しかないのである。
どんなありえない事件事故でも「明日の俺の姿」と思うことが一番のリスクヘッジなのだ。
そもそも何故、事件の当事者がUSBに大事なデータを入れて持ち出したかというと、一番に考えられるのは「琥珀さんリスペクト」である。
その次に考えられる理由として、もし、悪用のために持ち出したならどうしようもないが、おそらく会社で終わらなかった仕事を家でやろうとしたのではないか。
この「会社で終わらない仕事をこっそり家に持ち帰る」という発想と行動は、むしろ真面目で責任感があるタイプがやってしまいがちなことである。
真面目で責任感のあるタイプは大事なデータを持って飲みに行って路上就寝を決めないとは思うが、「終わらなかった仕事をつい家に持ち帰る」という行為自体は誰でもやってしまう可能性がある。
そこから飲みに行くというのはあまりやらないかもしれないが、帰りに電車に置き忘れたり、ひったくりに遭うということは十分ありえる。
つまり本件も「ありえない」ように見えて、誰でも二歩ぐらい間違えれば起こしかねないことなのだ。
4360万だって誰にでも誤振込される可能性はある。そして多くの人間が「俺だったらすぐ返す」と言っていたが、本当に誤振込まれて、その時ガチャで推しがピックアップされていたら正直どのような行動に出てしまうかわからない。
だが事前に「使ってお縄」まで想像できていれば、すんでのところで使わないはずである。
SNSには毎日さまざまなニュースが流れてくるが、それを全て他人事と思うか、明日の俺と思うかで、いざ当事者になった時の対処は変わってくるものなのだ。
私は4360万誤振込まれた時のシミュレーションは万全である、いつでも誤振込んでほしい。
次回は7月12日更新です。
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