#237 「ネットは自由な場所」という勘違い | Souffle(スーフル)
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コラム 2023.06.20

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#237 「ネットは自由な場所」という勘違い

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

最新話更新!

『ほがらかSNSライフ』HIKAKINさんが提唱した炎上しない7か条の中に「マイナスなことを言わない」というのがある。

確かにこのご時世ネットに何かの悪口など書くものではない。
悪口というのは他人が他人に言っているのを安全地帯から「俺も前からそう思っていた」と、上段腕組みご意見番ヅラして頷くのが正しい嗜み方である。

しかしHIKAKINさんは「嫌い」「まずい」なども控えて発信しようとアドバイスしているようだ。

いかなる場合でも人間に対して嫌いというのは控えた方が無難だし「新商品の洗剤を食ってみたけどまずかった、このメーカーもオワコンだな」というのは言いがかりである。

しかし「セロリが嫌い」「今日食ったラーメンがまずかった」というのは「好み」と、ひろゆき氏の主食として有名な「個人の感想」である。

それすら書いてはいけないか、というと万全を期するなら書かない方が良いだろう。
何せネットというのは膨大な不特定多数の目に触れる可能性がある場所である、当然その中にはセロリが好きだったり夏が嫌いだったりする者もいる。

ただの好みや感想の発信でもそれを「自分が好きなものへの『攻撃』」と見なし「よろしい、ならば戦争だ」となってしまう人もネット上にはいるのだ。

先日「何かを批評するとそのファンが怒ってくるので窮屈だ」という旨のツイートが話題になったようである。
同意する人も多かったようだが「自分は何かを批評するけど自分の意見を誰かに批評されるのは嫌と申すのか?」という反対意見もあり、さっそく怒られが発生してしまっていた。

確かに個人の好み感想にイチイチ怒らなくてもと思うが「イチイチ怒ってくる人もいる」のがネットである、怒る隙を与えるような「マイナス発言」は控えた方が良いと言えるだろう。

確かに「殴っていいのは殴られる覚悟があるやつだけ」という腹を決めた人間しか、忌憚のない意見を言ってはいけないというのは、やはり「窮屈」と言える。

しかし、そもそもネットというのは数億単位の人間に「監視」されている場所である、「窮屈」で当たり前なのかもしれない。

むしろ「ネットは自由な場所」と勘違いしてしまったことがネット炎上の原因であり、むしろ「リアルよりも窮屈な場所」と理解することが炎上を防ぐのかもしれない。

他人の悪口や他人が作った物への批判がダメなら、自分のことを悪くいう「自虐」は良いのか、というと、これも昨今はあまり良くないと言われている。

ネット上には多くの人間がいるため、当然「自分と似た境遇の人」もいる。
よって「自分のような無職が偉そうに米を食ってすみません」みたいなことを言うと、それを見た全国の無職さんが「俺たちは米を食う権利もないのか」と思ってしまうし「無職は偉そうに米を食ってはいけない」という誤解が広まってしまう恐れがある。

今の世の中「属性」で物事を語るのは危険である。
自虐がしたければ「自分のような者が偉そうに米を食ってすみません」と、自分限定であるという表現をした方が良い。

それでも「お米さんが食べる人を選ぶ差別主義者のような表現はやめてください」と怒られる可能性がある。

ネットは基本的に窮屈なのだ。

次回は6月27日更新です。

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OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。しかし、唯一無二の居場所のSNSには炎上、マウンティング、キラキラ女子など、闇も広がっているのです。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方コラム。

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