Xが中年のSNSであることは周知の事実だが、夏休み中は特にそれが顕著である。
まず「今夏休み中です」という当事者の姿をほぼ見かけず、その代わりに子どもの夏休みが一刻も早く終わることを神に祈り、9月になって「お疲れ様!」という謎の空リプと共に缶ビールやでかいカフェオレの写真を上げるアカウントばかりが目につく。
また帰省シーズンでもあるため「義実家の悪口」が夏の季語になっているのもXの特徴だ。
ただしこれは冬の季語も兼任しているため、「でかヤモリ」など季節が分かるように表現しないと、夏井先生に罵倒される。
また「このアカウントが娘にバレて超泣いてる」など、家族愚痴アカを子フラしてしまっている親もいる。
親がXに自分の悪口を書いているというのは子どもにとって親父がVチューバーだった以上の衝撃なので、Xに家族の愚痴を書くならpixivアカウントよりも厳重に運用する必要がある。
つまりXは旅館の謎スペースのように「子どもにとってはつまらない場所」である。
若者のSNSといえばインスタ、またはTikTokというイメージだが、中高生レベルの若者になると一番使われているSNSは「LINE」になるらしい。
それを聞くたびに「そもそもLINEってSNSか?」と思うのだが、SNSはインターネットを介したコミュニティサイトの総称らしいので、その定義でいえば確かにLINEもSNSである。
私がLINEがSNSと言われてピンとこないのは、おそらくSNSでコミュニケーションを取る「相手」の想定が中高生とは全く違うからだ。
たぶん中高生は、学校の友達などとLINEグループを作り、やりとりをしているのだろう。
彼らにとってSNSはリア友とネット上でもコミュニケーションを取るためのものであり、確かにそれならLINEが最適だ。
逆に私は、リアルの交友関係以外の人間にリアルでは言えないことを言うためにSNSやネットをやっている。
つまり「誰も俺のことを知らない場所に行きたい」という失踪精神でSNSをやっており、「会社の人に垢バレしたかもしれないのでアカウント変えました」など、失踪先をつきとめられてさらに失踪しているアカウントも少なくない。
リアルでも失踪先としてふさわしいのは、様々な流れ者がやってくる吹き溜まりのような場所であり、SNS界の吹き溜まりといえば言うまでもなくXである。
Xに中高年が多いのは、中高年ほど「ここ以外のどこかへ行きたい」と思っているからなのかもしれない。
次回は9月24日更新です。
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