#302 ブロック機能のジレンマ | Souffle(スーフル)
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コラム 2024.10.15

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?

#302 ブロック機能のジレンマ

『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫

最新話更新!

『ほがらかSNSライフ』Xでは毎日何らかの諍いが起こっているため、Xユーザーは隙あらばケンカをしようとするネットサイヤ人の集まりと思われているかもしれない。

だが実際はそんな弁慶ですらスネを押さえて逃げ出す連中の巣窟なわけではなく、意外と揉め事には関わりたくないというタイプも多いのだ。

その証拠としてXには「鍵」や「ミュート」「ブロック」など、揉め事を防ぐための機能もついている。

もしXがケンカ推奨ツールならブロックの代わりに「ATACK」などもっと攻撃的機能がついているはずだ。

それらの機能がなければXはさらに血で血をキレイキレイする地獄になっていたかもしれないということだが、そんなX上の死線を守り続けてきた壁の一つが近々崩壊するらしい。

崩壊するのは「ブロック機能」であり、破壊するのはもちろんイーロンである。

ただイーロンはXを粉砕したいのではなく、スクラップ&ビルドしているだけなのだと思う。ただユーザーの目から見てスクラップ率が高いというだけだ。

ブロック機能が全廃されてバリケードなしの野戦場になるわけではなく一部機能が変更されるだけなのだが、それがブロックの意味がなくなるレベルの改悪と言われている。

現在ブロックをした相手からは、こちらの投稿を見ることはできないし、逆にブロックした相手の投稿を見ることもできない。

しかし今後はブロックした相手からも投稿は見られるようになり、リプライなどのコンタクトを取るだけが不可能になるという。

これは「出禁」の意味が「店への立ち入り禁止」ではなく「店の中には入っていいが店員に話しかけたり注文をしたりするのは禁止」に変えられたに等しく、ブロックした意味がない。

ストーキング行為とて嫌がらせを禁止するだけでなく、近づくことすら禁止にしないと被害者は安心して寝られないだろう。

一体何故こんな変更をするのか見当もつかないが、もしかしたら「俺様をブロックしたのがどんな奴か気になる」という動機なのかもしれない。

確かに私も自分をブロックしているアカウントを見つけると、何故ブロックされたのか、あたいの何が悪かったのか詰め寄りたくなるが、「そういうところ」と言われたらそこまでだし、何せブロックされているので聞くすべもない。

しかし、相手のプロフィールや投稿を見ることができれば、相手がどういう人物か知ることはできる。

自分を嫌っている相手の人となりを知って何の意味があると思うかもしれないが、私もエゴサで自分の悪口を言っている人を見つけた時、わざわざ相手のホームを見に行き、「この人はありとあらゆることに文句を言っている」ということを確認して安心したりしている。

だがやはり自分を嫌っている人間のことなど気にしても仕方がないし、まして機能を改変してでもブロックしてくる奴のことを知りたいというのは、もはやXに向いていない。

猫アレルギーの猫好きのように、イーロンはXの持ち主だがXに向いていないのかもしれない。

次回は10月22日更新です。

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OL兼マンガ家から専業作家になったカレー沢薫さんが気づいたのは、「SNSにしか居場所がない」という事実。しかし、唯一無二の居場所のSNSには炎上、マウンティング、キラキラ女子など、闇も広がっているのです。インターネットという大事な居場所を地獄にしないために、カレー沢薫さんが提案する、SNSとのほがらかな付き合い方コラム。

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