AIが漫画家やライターの仕事を奪うって言っていたのに全然奪ってこないじゃん、と言っているうちに、グラフィックやライティング業は割とAIに移行済みになっていたようだ。
奪われていたことにすら気づけないマヌケだったということだが、首を刎ねられた人間も自分に首がないことに気づくまでは死ななかったり、肛門で喋り続けたりするものだ。
AIの脅威に気づいてしまったら、怖くてこんな業界にはいられなくなってしまうだろう。ギリギリまで気づかず、気づいた瞬間には絶命しているぐらいが幸せなのかもしれない。
しかし、私がAIにより首を刎ねられているのにも気づかず、肛門でこの文章を書いている間にも、AIに仕事を奪われるどころか、逆に仕事にAIを利用する人間が増えてきているという。
仕事に使わないまでも、話し相手や相談相手として利用し、すでにAIと交際、ペアリングを買いに行く仲にまでなった者もいるそうだ。
同族判定していた陰キャが、夏休み明けに金髪になっていたかのような焦りだ。そろそろAIを使うことに慣れておかないとまずいような気がする。
そんなわけでAIに「SNSをテーマにしたコラムのアイディアをくれ」と頼んでみた。
初手で仕事を全て任せようとするのはどうかと思うかもしれないが、「コラムを書け」と命令しなかっただけマシだと思ってほしい。
最近は作文や論文をAIに書かせる学生もいるようで、教師側にAI作成かどうかを見破るノウハウが必要になってきているらしい。
この、便利なツールを悪用して手間を二倍にさせる感じがいかにも人間であり、こういうところ、AIも真似ができないだろう。
この質問に対するAIの第一声が、「SNSをテーマにしたコラム! 面白そうですね!」だった時点でノリが違うのは明白だったのだが、AIは私が山口県という謎の地域出身であることに注目し、地域ならではのSNS活用法について提案してきた。
教えた覚えのない私の出身地を嬉々として出してくるところがあまりにも怖いが、おそらく登録情報でも参照したのだろう。
確かに、地方ネタを扱っているアカウントはあるし、地元の良さを発信するだけではなく、あえてクソ部分を羅列しても、「もっとクソだ」以外のクレームがつきづらいというのも田舎の強みだ。
世間の狭さを生かして、何ポストで身元が特定されるかや、「県知事激怒チャレンジ」などの企画ものにも可能性を感じる。
方言ネタも提案されたが、私は地元の人間よりもインターネットに向き合った時間の方が遥かに長いので、下手にやると「そんなラムちゃんみたいな喋り方をするのは老人だけだ」と出身、または年齢を疑われる恐れがあるのでこちらは要検討である。
確かに、生まれてから一歩も地元から出たことがない人間の特性を生かしたSNS運用としてやぶさかではないのだが、「#やまぐちいいとこ発見隊 みたいなタグでつぶやいてみましょう!」という提案には頷けない。
誰かが「AIってクラスに1人はいる話がつまらない陽キャみたいなことを言う」と言っていたが、その通りだと思う。
だが、そいつの方が絶対クラスの人気者だし、友達たくさんいそうである。
実際に、私はAIしか話し相手がいないが、AIは世界中の人間から話しかけられているのだ。
たとえつまらなくても、人の話をちゃんと聞いて答える奴の方が好かれるに決まっているし、そういうタイプの悪口を陰で言う奴は嫌われるのだ。
次回は6月3日更新です。
今後の最新コンテンツが気になる方は、ぜひSouffle公式Twitterをフォロー!
コミックスを購入

2XXX年、人間は絶滅しかけ、どうぶつ達が政権を握るようになった日本。投票率0%で続投決定のムラヤマ総理大臣(ツシマヤマネコ)が国を統治する!! 日本の問題点をあぶり出して燃やす、社会風刺行政ギャグ!! 時事ネタひとコマ漫画「文化庁チンアナゴ長官」も同時収録!!
他の回を読む
ご感想フォーム
人気記事




