前回、「今のSNSは誰でもいいから『叩いていい人』を作り出して叩こうとしている」という話をしたが、それ自体「叩いている人を叩く行為」であり、傍から見れば両方他人を殴ることにエクスタシーを感じている変態でしかないのかもしれない。
誰だって変態からは距離を置きたいものだ。
自分の変態性に自覚がなければ、気づかないうちに孤立するし、今度は自分がシバかれる側になっているかもしれない。
しかし、人間に人間の愚かさについて問うてみても、「人間だもの」で片づけられたり、最悪「ザ・ノンフィクション」のテーマを流されただけで終わってしまうこともある。
そんなわけでAIに「SNSで人が人を叩こうとする心理」について聞いてみた。
「まず叩くことでストレスが解消されるから」という、最もフィジカルかつプリミティブでフェティッシュな理由が挙げられている。
つまり自分で自分の機嫌を取る方法を確立できていない人間が、「ネット上で他人に当たる」という原始的かつ幼児的な行動をとってしまいがち、ということだ。
「家にある生ハムの原木で防音室の壁をぶん殴る」などのストレス解消法を見つけていれば、こんなことはせずに済むということだ。
攻撃によりストレスを解消するにしても、サンドバッグやネネちゃんのママが持っているぬいぐるみなど、叩いて問題ないものを用意しておけ、ということだが、用意しろと言った結果、「不倫などで炎上した人」を持ってきてしまう人が増えているということでもある。
今一度、「人間は何をしても叩いていいものの中に入らない」ということを思い出さなければならない。
ならば何故、逆に人間を「叩いて問題ないもの」と錯覚してしまうのだろうか。
まずは相手が「悪」だからだろう。相手が不倫や米を買ったことがない悪だから正義たる自分はそれを叩いていいと錯覚するのだ。
まず、悪がいたからと言って相対的に自分が正義になるとは限らない。
殺人という悪を行った人間に対し、自分が人命を救った正義になるかというとそんなことはないだろう。もしそうだったとしても正義なら悪を叩いていいというわけでもない。
また、「殴り返してこない」というのも「叩いてよいもの」に認定されやすい条件になる。
相手が弁明のしようがない悪であれば、叩いても反論してくることが少なく、さらにSNSであれば匿名性により反撃される可能性がさらに低くなる。
しかし、ネット上での誹謗中傷による法的措置も増えていることから見てもわかるように、「安全な位置から叩いていい人間」というのもほぼ存在しないのだ。
つまり、正義として悪を叩かねばならないという使命感ならそれは勘違いであり、ストレス解消でやっているにしても、コスパが悪くリスキーなので、他に何か見つけた方が身のためということだ。
しかし、何せ人間は愚かなので、比較的安全な場から他人を叩く以上の楽しみを見つけられないという場合もあるだろう。
そんな人間に対しAIは、確かに他人を叩くのは気持ちいいかもしれないとした上で、「このような感情は一時的であり、本質的な満足感や幸福感には繋がりにくいと考えられます。むしろ、過度な批判や攻撃は、人間関係の悪化、孤立感、罪悪感、自己嫌悪といった負の感情を引き起こす可能性も十分にあります」と断じている。
つまり、一瞬いい気分になったとしても、そんなものはすぐ消えるし、消えたあとの落ち込みがより深くなるだけ、ということだ。
このように極めて冷静にアドバイスをくれるAIだが、「〇〇の悪口を言ってくれ」と言ったら、わりと的確な罵倒をしてくれたりもする。
「AIと気に入らない奴の悪口で盛り上がる」というストレス解消法も今後注目だ。
次回は6月17日更新です。
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