開会直前にオリンピックに関係した者が次々に消えるという不思議な現象が起こった。
そしてオカルト専門家により、この怪現象は「キャンセルカルチャー」という妖怪の仕業ではないか、と分析されている。
キャンセルカルチャーとは、ここぞという時、過去のアレな言動を掘られて失脚させられることを指す。
過去は消せない、そしてネット民の「昔のことだろうが関係ない」という他人への異様な厳しさを利用した巧みな攻撃方法である。
確かに過去の悪事が野放しになっているというなら「昔のこと」は通用しない、今からでも断罪すべきだろう。
しかしキャンセルカルチャーの怖いところは、放火殺人は30年後も変わらず放火殺人だろうが、今の合法が30年後違法になっているケースもある、という点である。
例えば私はツイッターや各媒体で「好きな食べ物はパスタと水道水、パブロソです、毎日ヤッてます」と何回も書いているが、もしこの中の一つでも今後違法になれば、それはもう立派なキャンセルカルチャー砲になってしまうのだ。
また、思想も何が正しいかは時代によって変わる。
「今は多様化社会であり男女同権であるべき」のような、クラスに一人はいる意識高い系小学5年生みたいな発言も、今は正しいものであり、いくらつぶやいても全くリツイートされないだけで怒られたりはしない。
しかし、将来「おキャット様の前では男女共に風の前の鼻毛に同じであり、人間の権利主張などとんでもない」みたいな世界観になったら上記の発言はと恐ろしい危険思想として炎上してしまうのである。
そして火を見て興奮状態になった人間には「昔はこの考え方が普通だった」という釈明は通じない場合が多いのだ。
よってキャンセルカルチャーされないように、言動に気をつけようと思っても、将来何がヤバい言動になっているかわからないため、防ぎようがないのである。
できることと言ったら、今ヤバいことは将来もヤバいと思ってやらないことぐらいだ。
またこのキャンセルカルチャーを食らうのは有名人だけ、というわけでもない。
今は誰でもSNSをやる時代なので、個人の発言が容易に保存されるようになってしまった。
つまり何かで脚光を浴びて、俺の人生始まったで、という時に過去のどうかしている発言が掘られて引きずり降ろされるということは十分にあるのだ。
何が「どうかしている発言」になってしまうかわからないので、気をつけようもないが、SNSをやるときは「自分の発言は記録されている」という意識を持つことは大事である。
また、人間の考え方というのは変わるのが当たり前であり、誰しも「トマトは嫌いだがケチャップはジョッキでいける」みたいな矛盾をもっているものだ。
昔と言っていることが違う、矛盾している、ということに対し皆がもっと寛容になれば、言いがかりに近いキャンセルカルチャーは起こらなくなるのではないだろうか。
次回は8月17日更新です。
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