先日、漫画家の冨樫義博先生がTwitterを始めたということが大きな話題になっていた。
あまりにも突然だったため争点はまず「本物か」の一点に絞られたのだが、同業作家や出版社の裏付けによりどうやら本物らしいということになり、現在ではすでにフォロワー200万人超え、漫画家としては最高のフォロワー数になっているらしい。
それを聞いてから私も300年ほど出遅れて冨樫先生のアカウントを見に行ったのだが、フォロワー数は1万人程度であった。
さすが冨樫先生、200万も誤差の範囲とはスケールが違う。私のように「フォロワー?最近見てないけど4万3412ぐらいかな?」と微妙に盛る奴とは器が違う。
それとも一時期は200万超えていたが、すでに200万人がリムーブしたのだろうか。
いくらTwitter民が飽きっぽいといっても、それはさすがに稲妻のように生き過ぎではないか。
スローライフという言葉はあまり好きではないが、Twitterの皆様に限ってはもう少しスローに生きてもらいたい。
などとフォロワー1万人程度の冨樫先生を前にしばらく逡巡していたのだが、どうやらそれは、冨樫先生のアカウントを完コピしたなりすましアカウントだったようだ。
Twitter社は私ではなく冨樫先生のような方に認証マークを送るべきである。
しかし、冨樫先生が有名な作家であることは間違いないが、すでに漫画家としては3年ぐらい活動していないのだ。
Twitterの人間はすぐに話題を忘れる。すでに誤振込された給付金の金額を言える奴は激減しているだろうし「某映画賞で司会を殴ったのは何スミスでしょう?」という問いの正答率も30%ぐらいだろう。
だが一方で3年活動していない作家のことを200万人もの人間が全く忘れていないのである。
つまり「世間はすぐ忘れる」などというが、実は全然忘れていないのだ。
忘れていなくても、ずっと寝ているハンター×ハンターの寝顔を見続けるかわりに、今動いている呪術廻戦の方に目が行ってしまうのである。
つまり、「興味が移った」だけで、忘れてはいないので「ハンター×ハンターが寝返りを打ったぞ!」と聞けば、200万もの人が再び興味を示すのである。
「意外と覚えてくれている」というのは良いことでもあるが、悪い意味で「いつまでも覚えている」ということでもある。
芸能人などがどれだけ長い活動休止を経ても復活した瞬間、世間は「そういやこいつ、吐き気を催す邪悪な不倫をして活動休止してたんだよな」ということを昨日のことのように思い出してしまうのだ。
さらに、脳とTwitterが同期しているやつが思い出したことをTwitterに書いたりするので、それを見た人間がさらに思い出すという思い出し連鎖が起こってしまうのである。
「人々から完全に忘れ去られる」というのは意外と難しく、一人が思い出せば次々に思い出されてしまうのが今の拡散社会であり、悪いことあれば余計思い出されてしまうので「最初からやらない」ということが極めて重要になってくる。
しかし漫画の連載というのは不思議なもので、「続きはよ」と言っている読者は多いが「最初から始めなければよかったのに」と言って憤っている読者はほとんどいないので、読者とはありがたいものである。
次回は6月21日更新です。
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