『ハードコア犬占い』 ハードコア流尾星(ながおぼし) うかうか先生の犬キャラが彩る、最強12星座犬占い!
ハードコア犬占い【2023年犬半期(7月~12月)の運勢は?】
twitterでも話題のハードコア犬占い、最新回!
今回は、半年に1回の恒例スペシャル版です。
6か月分の運命を見通す、犬半期占い(2023年7月~12月)をお届けします。
あなたの犬半期の運勢は?
ハードコア流尾星
★占い犬(うらないぬ)として修行の旅をしながら、迷える犬たちに助言を与えている。
すべての犬どもへ
犬半期ってのは昼と夜みたいなものだ。暗くなったり明るくなったりするのを、昼とか夜とか呼んでいるだけで、どっちが先とか後とか、偉いとか凄いとか、ない。昼寝てるやつも、夜起きてるやつもいる。前編と後編とかも、実はない。どの時点を「はじまり」とするかが違うだけで、なにかの「おわり」は別のなにかの「はじまり」だ。そういうのをずーと繰り返してるんだ。
地球は、地球つーくらいだから、まぁ球だろ。それを太陽が照らしてて、明るいほうが昼で、暗いほうが夜だ。地球は自転してるから、いつでも日の出と日の入、真昼と真夜中が、同時に起きている。起きているつーか、おれたちがちょうどそのポイントを通過する時に、「日が出た!」とか「日が沈んだ!」とか「真昼!」「真夜中!」とか、思ってるってことだ。考えてみれば、不思議だな。もしかしたら本当は何も起きてなくて、おれたちがくるくる回ってるだけ、てことかもな。
それでも、おれたちはくるくる周り、お盆とか大晦日とか、色々やる。回ってるうちにだんだん大きくなったり、入学したり就職したり、なんなら増えたり減ったりしている。おれたちここで、いったい何をやってるんだろうな? まぁとにかく、いろんなことが起こるだろう。本当は何も起きてない球の上で、それでもおれたちは、いろいろな体験をする。夢みたいなもんだ。フリスビー、UFO 、オルゴール、噴水、カレーパンにドーナツ。気付いてたか? おれたちはいろんな夢をみるが、だいたい全部、丸いんだ。大好きなあいつの瞳も、丸いだろ。ときどき四角いのとか、長いのとかもあるが、そういうのも時間が経つと、だいたい丸くなる。すげぇ!この犬半期は、丸、丸さ、回転を意識しろ。フリスビーからドーナツまで、「はじまり」も「おわり」もないワンネスの夢を駆け抜けるんだ。おまえも丸いの、大好きだろ? 最高だ。
7月はよく考えろ。本当は何も起きていない。
9月は丸いものを集めろ。それが唯一、確かなものだ。
11月はふわふわしろ。ハードコアを柔らかく包め。
12月には、夢と現実が反転する。むにゃむにゃしろ。
占い監修:磐樹炙弦(ハードコア星占い@Twitter)
イラスト:うかうか
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2023年犬半期(7月~12月)の運勢は?
おひつじ座
川沿いの「幸運座」ていう小劇場で「なんとなく映画祭」てのをやっている。おまえは急に予定が空いた水曜日の午前に、なんとなくそこに行き、なんとなくチケットを買って席に着く。ブーとブザーが鳴って暗くなり、なんとなく映画が始まる。「コーヒーと梅干し」というモノクロ映画で、眠そうな男女が小声でなにか喋り、笑ったり泣いたりして、時々、犬のクローズアップが挿入される。映画は15分ほどで終わる。コーヒーも梅干しも画面には映ってなかった気がするが、よく憶えていない。音楽は悪くなかった気がするが、実は音楽はついてなかったかも知れない。あの男女は好き嫌いとか人生とかについて対話していたと思うが、セリフが何語だったか、字幕がついていたかどうか、憶いだせない。あれ? 今日映画観たんだっけ? 午前中に… まぁいいか。午後はどうしようか。観たかどうか曖昧な映画のレビューをツイートしてもいいが、憶えておけ。もっと大事なことがある。それが幸運ってやつで、それはだいたい午後に起こることだ。なにかを憶いだせない午後に、洗濯物の匂いを嗅げ。おまえにはなんの関係もない超新星爆発が、映画のように煌めく。どこかで。午後に。
7月は梅干しを手に入れろ。いいやつだ。
9月のおまえは美しい。うっとりしろ。
10月の秘密はおまえの好きなやつだ。
そこから年末まで、普通にいい気分だろう。
おうし座
研究所でバフン!と煙があがり、変な博士がゲフンゲフンと咳こみながらよろよろと出てくる。だいたい月に2回くらい、こういうことが起こるので、もう誰も慌てたりしない。変な博士はこういう時、必ずおまえを誘って紅茶を飲む。だから戸棚の決まった場所に、お菓子を用意しておくのがおまえの仕事だ。もう何億年も前から、こんな日々を繰り返している。訊いてもいいし訊かなくてもいい、おまえからの質問を、変な博士は黙って待っている。おまえは敢えて黙ったまま、レコードプレイヤーのとこまで歩いていって、ガンズ&ローゼスをかける。それは変な博士のお気に入りだ。ウェカムトゥザジャンゴー…フンフフンフーン…シャナナナナナナン、ヒー!のとこで、変な博士もおまえも、爆笑だ。二人とも椅子から転げ落ちて、床に這いつくばって、まだ笑っている。どこからか犬がやってきて、笑い転げるおまえと博士の顔をペロペロ舐めるものだから、たまらない。この研究所に来て、本当によかったと思う。突然、変な博士が飛び起きる。新しい実験を想いついたようだ。おまえも飛び起きる。いつもここで目が覚める。変な博士の新しい実験が、うまくいきますように。それはたぶん、11月の新月の頃だ。それまでに、紅茶とお菓子を準備しておけ。ガンズ&ローゼスもだ。
7,8,9月は「変な博士」だ。おまえがやれ。
10,11,12月は「ガンズ&ローゼス」だ。そういうお菓子かもな。
ふたご座
この犬半期はとにかく、シュパシュパしろ。最近シュパシュパしてたか? シュパっと現れて、シュパパっと書類を差し出し、シュパパパシュパパとなにかをこなす。一息ついたら、シュパっと気分転換だ。シナモンをきかせたリンゴのなにかをシュパっと切り分けて、その透明度からシュパっと一言で占って、唐突に風呂入ってくる!と叫んで、脱衣所でシュパっと服をぬげ。あとはわかるな。カラスの行水だ。いい香りのする石鹸だかなんだかをシュパーと泡立てて、え、もう!?ていう勢いで洗い流す。それは速度と香りのスイートソウルレビューだ。気持ちいいだろ? 相対性理論によれば、時間も速度も相対的なもので、つまり香りだ。コピー用紙の、シナモンアップルなんとかの、石鹸とエプソムソルトの、それぞれの香りを、おまえは嗅ぎ分ける。種子島に鉄砲が伝来して、火薬の香りをはじめて嗅いだ時の不思議な感覚を、おまえは憶えている。エルダーシャーマンチーフが、カラスになっておまえのところにやってきて、何かを伝えようとするが、なんか犬に吠えられてる。気にするな。台湾の先住民シュパ族の歌と踊りをでたらめにやりながら、シューパーマーケットに買い物にいくんだ。お惣菜コーナーに並ぶ4割引シールの位置と角度から、エルダーシャーマンチーフのメッセージを読み取れるだろう。
7月は普通だ。シュパシュパしろ。
8,9月は、一旦止まって回転しろ。踊りだ。
10,11月は免許とか告白とかだ。
12月は歌をつくれ。簡単なのでいい。
かに座
12/27(水)を想像しろ。その日は、かに座の満月だ。クリスマスが終わって、いよいよ年末って感じだろうな。空気の冷たさ、街の音、着ている服は、どんな感じだ? その日の晩ごはんは何だろうな? とりあえず、肉じゃがってことにしておこう。ホクホク具合を味わえ。さて、食後のしょうが湯を飲みながら、今度は7/18(火)のことを憶いだすんだ。その日は、かに座の新月だ。特にどうということのない日だったかもな。天気も、着ていた服も、憶えてないかも知れない。いいか。いまおれがおまえに伝えたのは、未来のある時点のかに座満月から、過去のある時点のかに座新月のことを憶いだすという、タイムトラベルのテクニックだ。それはおまえの犬半期の、はじまりとおわりだ。7/18(火)の日記をつけておけば、12/27(水)にそれを読むことができる。ところで圧力鍋は一種のタイムマシンだ。というか、タイムマシンが発明されるとしたら、それは圧力鍋と同じ原理に基づいているはずだ。高温で素早く加熱することで、肉じゃがとかが美味しくなる。不思議だな。大事なことは、調理中の圧力鍋の内部は観測できない、ということだ。かに座新月で始まり、かに座満月で終わるおまえの犬半期を、おまえはタイムトラベラーとして旅をする。その途中で起こる全ての出会いは、その瞬間の「今ここ」で観測されるまで、何も決定されていない。どんな占いも、憶いだすように読め。そしてすぐ忘れろ。幸福度の高い犬のように、おまえの物語を生きるんだ。
8/16の獅子座新月と、9/15の乙女座新月も面白い。
タイムトラベルの練習にはもってこいだ。
しし座
かつてないほど斬新でイノベーティブなバス会社を運営したいよな。しし座のおまえが経営するなら、名前は「レオ交通」とか「ししバス」でいいだろう。適当だ。バス停の時刻表なんてあってないようなものだから、あれはもうやめよう。ノーダイヤ、オンリーバスだ。時間は錯覚であり、バスだけが来たり来なかったりする。それが企業理念だ。もちろんバリアフリーで、あらゆる段差どころかあらゆる差異が消失した、誰もが何者でもない空間を運行する。車内のボタンは「つぎ降ります」より「いま降ります」がいいな。ボタンが押された時点で停車して、そこにバス停を設置していけば、勝手にバス停が増えていく。そこで降りていった乗客の特徴や印象を、バス停の名前にしよう。おまえは社長で、ただ一人の運転手だ。雨の日も、おまえはバスを運転するだろう。いつのまにか数人の乗客が乗っていて、スマホをみたり窓の外をぼんやり眺めていたりする。盲導犬が一匹いて、あいつだけが自分の行き先を知っているようだ。賢そうな盲導犬の傍らで、盲目のおばあさんが編み物をしている。指先と口先で数を確かめながら、なにかをずっと編んでいる。ビシっと前を向く頼もしい盲導犬の傍らで、ずっとずっと編んでいる。おい…なんてこったい! 乗客もバスもバス停も雨もおまえも宇宙も、おばあさんの編み物だったんだぜ! いつか「いま降ります」ボタンが押されるはずだが、それはあの犬しか知らない。楽しめ。
7月発12月行きバスだと思え。おまえが出会う全ての人がバス停だ。
9/15日の新月と、12/27の満月の夜、なにかを憶いだぜ。
おとめ座
もうだいぶ、わかってきただろう。これはバーチャルリアリティだ。おまえは占い好きの星屑野郎で、蜘蛛の巣と一緒にここに落ちてきた。おまえが占いが大好きなのは、おまえが何かを憶いだそうとしているからだ。結論から言えば、おまえはこれから先、何も憶いださない。それどころか、憶えておくべきものごとばかりが、どんどん増えていくだろう。ふむ。それでもいいんじゃないか? おれはおまえのことを、この先もある程度まで憶えているだろうし、おまえがおれのことをある程度でも憶えてくれてれば、それは悪くない気分だ。忘れてしまった何かよりも、憶えていたいなにか、いや、なにかを憶えていたいと思えることのほうが、よっぽど最高じゃないか? 一日ひとつ、何かを憶えようぜ。おまえの蜘蛛の巣に雨粒を並べることで、それをメモしておくことができる。蜘蛛の巣が雨粒でいっぱいになったら、それを満月の夜空にかざすと、星座として転写できる。便利だな。星占いってのは、そうやって誰かが星座に転写した記憶を、他の誰かが読み取って、なにかを憶いだそうとすることなんだ。もちろん、誰も何も、憶い出さない。それでいいんだ。こいぬ座ってあるだろう? あいつは結構おしゃべり野郎で、時々おおいぬ座にそれで叱られてるんだ。700年に一度くらいだ。ケッサクだよな。さて、おまえなにかしたいことがあるんじゃないか? いいと思うぜ。それをやれよ。
7,8月ははしゃげ。ふりでもいい。
9月は一旦あれして、可愛い顔をしろ。
10月から年末まで、可愛い顔のまま加速しろ。そういうマシーンみたいにな。
てんびん座
夢みたいなことばかり言ってるんじゃない、とか言われた時の、反論をあらかじめ考えておこうぜ。こういうのはどうだ。「夢、”みたいな”、こと…?」そう言って、あいつの目をじっと見据えて、黙ってみろ。あいつは数秒考え込み、10数秒後には(え?…いや、えーと、あ、いいんだ)みたいな心の動揺を隠せず、なんかどうでもいいダサいことを、言ったりしたりするだろう。ちょっとくらいダサいのは許してやれ。そしてなお、おまえはじっと黙って、あいつの瞳の中に入っていけ。あいつが目を閉じたら、指で瞼を押し上げて、もっとみつめろ。ここでもう一回、念押ししてもいいだろう。「夢、”みたいな”…」語尾がちょっと違うのがトリックだ。神経言語プログラミングというんだ。おまえとあいつの瞳は、多次元宇宙演算量子コンピュータとなり、すべてのあり得たこととあり得ることの総和をブロックチェーンに記述する。それが夢だ。夢は固有の重力場を持っている。おれたちは、夢の重力場を自由落下しているだけだ。自由意志とかは、ない。このことを正しく理解すれば、おまえは危険なほどにモテモテになる。おまえが、そうなりたいと願うなら、だが。そんな危険なテクニックを使わなくても恋はできるが、憶えておけば、いざって時にあれだろう。いろんなケースを想定しておけ。犬がしっぽを振る時も、微細な重力波が生じている。サーフしろ。
7月はまぁまぁいって寸止めだ。
10月になったら着飾れ。過剰くらいでいい。
11月は品定めをしろ。
12月は神経言語プログラミングだ。
さそり座
もうこうなったら、フワフワのなにかにダイブしてモフモフのモフー!みたいな現実逃避をしたいワン! とか思っているなら、おまえはまだ未熟だ。柔らかさも硬さも相対的なものだ。歯応えってのは、硬さと柔らかさのハーモニーだ。もし柔らかさしか存在しなかったら、お茶碗もテーブルもフワフワで、食事という行為が成立しない。硬さしか存在しなかったら、そもそも動けない。その宇宙ではなにも起きず、つまりなにも存在しない。低反発ふとんと高反発ふとんってあるだろ。どっちが体にいいんだよ、て腹がたったことはないか? おれはある。だけどな、答えは存在しないんだ。低反発には低反発のよさが、高反発には高反発のよさがある。おれは考えたんだが、あれ低反発部分と高反発部分をシマシマ状にしたらどうだろうな? そしたら寝る位置と姿勢を調整することで、両方のよさが得られるだろう。全部アインシュタインで考えろ。世界は全部、半分ずつだ。誰のどんな言葉も、半分合ってて、半分間違っている。全部ってのはない。「ある」と「ない」も、半分ずつだからだ。高速のサービスエリアでバニラと抹茶半分ずつのソフトあるだろ。あれ嬉しいよな。だから、おまえの低反発と高反発を、あいつにぶつけろよ。フワフワとガビーンのミニマルミュージック、恋の現代音楽だ。
7,8月はガビーンだ。
9月はガビーンで、10月はフワフワだ。
11月はガビフワだ。
12月は、高速のサービスエリアにいけ。
いて座
トラックボールって知ってるか? ボールをくるくる回して使う、パソコン機器だ。知らなかったらググれ。そして、地球も実はトラックボールなんだって知ってたか? コンビニまで歩いて行く時、地球の表面を自分が移動してコンビニに行っている、と多くの人は考えるだろう。そうではなく、おまえがトラックボールみたいに足で地球をくるくる回して、コンビニをおまえのところまで引き寄せている、と考えてみろ。かつて地球を中心に天の星々が動いている、と考えられていた。天動説ってやつだ。しかしよく考えると、どうも地球のほうが太陽の周りを回転しているらしい、てことがわかってきた。地動説だ。今、おまえが足でトラックボールの地球をくるくる回して、コンビニを自分の側に引き寄せるとき、おまえは地動説2.0を経験している。「もっと地動説」だ。やってみろ。こう考えることによって、富や幸運を自分のもとに引き寄せることができるかといえば、そんなでもない。それは関係ない。しかし、おまえはトラックボールのように軽く重く回転する巨大な球としての地球を発見し、より繊細な、サーカスの玉乗りのような美しさで、そこに立つ。おまえが球に乗れば、犬が輪をくぐる。目の眩むスポットライト、鳴り止まない歓声、銀河系。そういうものが、やってくる。
7,8月は軽さと戯れろ。広さだ。
9,10月は重さと戯れろ。負荷だ。
11,12月は速さと戯れろ。楽しめ。
やぎ座
竜宮城は、実はいろんな惑星に展開しているチェーン店だ。地球には5店舗くらいあるが、どれも別々のブランド名で展開されていて、チェーンだと普通は気づかない。まぁなにか、そういう戦略なのだろう。複数の竜宮城に、何度か行ったことがあるやつは、みやげ売り場のポストカードが同じだったり、別の店舗なのに見たことのあるスタッフがいたりして、そういう細かいところで「あ、これチェーンなんだ」と気づく。こっちが気づくと同時に、あっちも気づく。そしてマネージャー候補として、勧誘を受けることになる。新しい銀河系に展開する時、どうしてもマネージャ−は不足するから、基本いつでもセンスのいいマネージャー候補を求めているんだ。彼らがマネージャー候補に求める素質は「細かい差異と同質性に気づくこと」「転勤に抵抗がないこと」そして「竜宮城が好きなこと」だ。だいたい、竜宮城に来るようなやつは、これら3つの要素を併せ持っていることが多い。さて、しかし考えどころだな。おまえ、どうする? そもそも客として楽しむのと、経営側に回るのでは、だいぶ違う。だいぶ違うけど、「君、マネージャー、やってみない?」て聞かれるくらいは、やっぱりそれが好きだ。おまえが一番好きな竜宮城を、おまえ自身が創造できる、そういうチャンスかも知れない。まぁでもよく考えろ。竜宮城は客として楽しみたいのか、それを創造したいのか。どっちでもいいだろう。
7,8,9月は普通だ。
10月から、いろいろ考えてみろ。
11月以降、他の恒星系くらいは込みでキャリアパスを考えろ。
みずがめ座
中国人には中華鍋だけ持って、どこに行っても生きていける、みたいな逞しさがある。それで世界中どこにいっても、中華街がある。もうあと何百年か経って、地球がだいたいロボとAIみたいになっても、その伝統は生きているだろう。ロボは回鍋肉とか食べないし、AIは「どこ」という場所の感覚は希薄になっているだろうが、「中華鍋」はたぶんアイコンとか仮想通貨の名前とかになって、残っているだろう。全てに火を通し、全てを食べてきた、生命の営みのシンボルを、ロボもAIも忘れたくないはずだ。おまえも、おまえの鍋を持っている。それさえあれば、どこにだって行ける。実際そうやって、ビッグバンとかカンブリア大爆発とかをくぐり抜けて、今ここにいる。おまえがその鍋を手放すことは、決してない。誰かがおまえを騙そうとして、その鍋は錆びてるよ、こっちのほうが全然いいよ、と嘯くが、結局、おまえは騙されない。おまえはいつだって、おまえの鍋とともにあり、その周りにおまえの友達や家族が集って笑う。地球にはアルタイル彦星っていうじゃがいもがあるぜ。ググってみろ。おまえの鍋で、アルタイル彦星を千切り甘辛炒めとかにして、パーティしないか? おれも呼んでくれよ。通りすがりのおれも犬も呼んでくれれば、宇宙のどこかで、おれもおまえと犬を夕食に誘う。そういうのは忘れないんだ。星が違えば食材の名前も違うが、食べればすぐに憶いだすだろう。
7,8月は食べていろ。
9月になったら、空腹を扱え。
11月以降、パーティの準備をしろ。
うお座
ここまでが半分だ。おまえはいつも、おれの半分だ。おれとおまえがいれば、世界はちょうど半分づつで、おまえが出会う全てのおれに、おまえは話を聞かせてくれた。いつだって、おまえの旅話を聞くのは楽しい。永遠に聞いていたいが、おれもおまえも、焚き火の側で、だんだん眠くなる。おまえとおれで半分こした宇宙で、おれもおまえも眠りに落ちたら、その後はどうなる? 心配するな。おれもおまえもいなくなり、焚き火が炭火になって煙になった後には、星空がそこにある。あそこに光っている一つ一つの光が、やっぱり焚き火なんだ。あっちでもこっちでも、すべてのおまえとすべてのおれが、永遠に旅話を交換している。そうこうしているうちに、明るくなる。星空が消えて、鳥が歌い始め、風が吹いて、でかくて明るいあいつが昇ってくる。靴紐を巻いて、荷物をパッケージしよう。塩気のあるものをちょっと口にいれて、笑いと怒りと冗談を歌にして、次の夜までのプランを立てよう。おまえは生気を吸い込み、吐き出す。巨大で重たい球体が、足の下と頭の上でゆっくり回転している。犬が吠える。それは純粋で無意味な喜びだ。うお座のおまえに、犬半期の運勢について何か伝えたい気持ちはあるが、今のおれには、これが精一杯だ。これから半分の昼が始まり、その後また半分の夜がくる。おれたちは黙ったり、また話したりするだろう。水分とミネラルと、笑いと炎とあれとあれと、ともにあれ。レッツラゴー。
8月の満月を憶えておけ。
11月、それから12月に、おまえは次第に強くなる。歩け。
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次回は7月16日に更新予定!
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