毎日ネット上では大小さまざまな嫌なことが起こっているわけだが、現実の世界でも連日出勤途中に勝ち抜き戦なのかというぐらい次々と知らないおじさんに体当たりされ、会社に着けば新卒の席に退職代行が座っており、上司には頭ポンポンされすぎて身長が縮み、帰宅中に火をつけられているベビーカーを3台目撃、家に着いたら子供の学級が崩壊している、ということはないと思う。
もし自分は毎日そうだという人がいたら、転職や引っ越しではもはや生ぬるいので、国外脱出を視野に生活を見直した方がいいと思う。
おそらく、現実で起こった嫌なことや、とてもリアルでは言えない本音を皆がこぞってSNSなどに書き込むから、連日至る所で恐ろしいことが起こり、全ての人間が怒りで震えているように見えてしまうのだろう。
特に、上澄みはインスタ、その下のヘドロはXに排出する、という使い分けをしている人も多いので、Xにヘドロオンリーデイが発生するのも当然である。
逆に言えばゾーニングができている、とも言える。
Xで発散することにより、他人に対して心無い言葉を吐いたり、知らない人に体当たりせずに済んでいるというなら、独り言レベルの愚痴はXに書き捨てていった方がいいだろう。
「世界規模の下水道」と呼ばれたXだが、下水や産廃処理場なくして我々の快適な生活は成り立たないのだ。
Xに汚水を流しているから、現実の日常がまだ比較的穏やかに過ごせていると思えば、やはりXには存在意義があるし、わざわざその下水を覗く必要もない。
私がXのおすすめ欄荒れ過ぎと嘆くのも、自ら進んで下水に住んでおいて「なんでここはこんなに臭いんだ」と言っているに等しい。
しかし、うっかり下水のマンホールの蓋を開けてしまったせいで、穏やかなやりとりの裏に凄まじいヘドロあったということに気づく「負の答え合わせ」をしてしまう場合もある。
先日、産休をするのに、「産休いただきます」という赤ちゃんのイラスト入りクッキーを会社で配ったという人が一部の層から猛バッシングを受けるということがあった。
しかし、この手のアイテムを配った妊婦に対し、面と向かって「不妊の人もいるかもしれないのに配慮が全くない、みんなお前の出産のことなどどうでもいいのに、どこまでも自分主役のお花畑だな!」と、Xに書かれているようなことを言う人間はほぼおらず、なんだったら「ありがとう!かわいいー」などと笑顔で受け取る者の方が多数派だろう。
だが、Xでは産休クッキーや産休自体に対してこれだけ悪感情を抱いている人間が大量にいるのである。
つまり、自分の産休を笑顔で送り出してくれた人も、内心ではこういうことを考えていたかもしれないということだ。
産休だけではなく、他人から発せられる「ありがとう」「大丈夫」「全然気にしないで」には裏があり、その裏にあったものがXに未加工のまま流されていることがあるので、人から優しい言葉をかけられた時ほどXの蓋は開けない方がいいかもしれない。
次回は5月21日更新です。
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