Xで収益化が実装されて以来、バズツイートに手あたり次第リプをしてインプレッションを稼ごうとする、通称インプレゾンビが現れ、Xはラクーンシティと化した。
そんなゾンビとそれを逐一通報するレオソとの闘いは今も続いているが、先日ゾンビたちとの戦いに変化が起こったようである。
インプレゾンビたちは主にナイジェリアなど海外の人らしく、インプレゾンビたちに「自分の国の食べ物や生活などを紹介するツイートをした方がバズってインプレッションが稼げるよ」と語りかける者が現れたのだ。
そしてその語りかけに応じ、ゾンビたちが次々にナイジェリア情報などをつぶやき、見事にバズったようである。
この流れは「キレイなX」として賞賛されたのだが、何せX民たちは記憶が3日も持たないメメンターばかりな上「インプレゾンビの人間化に成功」など、入れ墨を彫って覚えたりもしないのである。
よってすぐに飽きて、インプレッションが稼げなくなったゾンビたちは元のインプレゾンビに戻るだろうと予想する者もいた。
実際、私のおすすめ欄からはすでにナイジェリア情報が消えているので予言通りになったのではないかと思われる。
しかし、インプレゾンビたちも人間であり、人格や生活があるとして対話を試みた想像力は確かに見事である。
我々はインプレゾンビ相手だけではく、画面の向こうにいるのが人間であることを忘れてしまいがちなところがある。
「観客のことは全員キャッサバと思えばいい」という緊張緩和法があるように、ネット越しだと人間感が薄まるため、現実よりも気軽に声をかけたり仲良くなることができる、という利点もあるが、逆に現実では絶対言わないようなひどいことを言ってしまいがちという問題もある。
画面の向こう側にいるのは水槽に浮かんでいる脳髄ではなく、現実と同じ生身の人間であるということを忘れず発信していかねばならない。
しかし、相手にも生活や家族や事情があったのだから、お前が脇腹にナイフを刺され、有り金を全部盗られたのも仕方がないと言われて納得できる人間は少ないだろう。
相手がどんな人間でも、手あたり次第リプにぶら下がられる行為はやはり迷惑だ。
むしろ樹の人間臭さを見てトドメが刺せなかった仙水のように、今回の件を見てインプレゾンビを憎み切れなくなってしまったとも言える。
しかし、ゾンビ化したかつての仲間を泣きながら葬るのもゾンビもののお約束である。
今後インプレゾンビを見た時、甘くないバナナを煮た料理を好む陽気なナイジェリア人の顔がチラつくかもしれないが、涙を飲んで通報していくしかない。
そして彼らを憎むのではなく、こんな姿にした、SNS界のウエスカーであるイーロンを憎むしかないのである。
次回は6月11日更新です。
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