#3 入院時の保証人について

肺がんサバイバーの社会保険労務士・清水公一さんによる、「がん」についてのお金のコラム。

入院時の保証人について

病院に入院する時に記入する申込書、同意書の中で必ずと言っていいほど記入しなければならないのが保証人です。保証人にも2種類あって、患者さんが医療費の支払いができない時に金銭的なことを保証するのが連帯保証人、治療方針や重要事項の同意、患者さんが亡くなった時のご遺体引き受け、病室の荷物の整理等をするのが身元引受人です。身元引受人を緊急連絡先としている病院もあります。
以前は保証人としてひとくくりにしている場合が多かったですが、今は別々にしているところが多いと思います。連帯保証人は金銭保証を目的としているため、同居家族ではないほうが望ましく、身元引受人は家族などの近しい関係の方が求められるためです。

「おはよう、おやすみ、また明日。」第5話より

連帯保証人、身元引受人の条件は？

連帯保証人には金銭的な保証が目的なため、入院する患者さんが入院費を払えない場合、その額を保証する義務が生じます。そのため、同居家族などの生計を一にする人（財布が一緒の人）は認められない病院も多いです。そうなると、なかなか見つけるのが困難になってくる場合もあると思います。ただ、いろいろな病院を調べたところ、同居家族であっても連帯保証人として認められる病院もあるので、そこは病院により異なるようです。
一方、身元引受人については特に条件はなく、近しい人であれば、成年者を条件に認められる場合がほとんどです。

「おはよう、おやすみ、また明日。」第5話より

保証人がいない場合はどうすればいい？

保証人については、原則、記入を求められます。ただ、おひとりさまの場合、保証人を見つけるのが難しい場合もあると思います。連帯保証人の場合、病院によっては、入院前に保証金を預かることやクレジットカードの情報を記入することで連帯保証人欄を記入しなくてもいいところもあります。ただ、保証金預かり規定やクレジットカード情報を受け付けていない病院もあり、そのような病院では連帯保証人を記入する必要あります。
連帯保証人と身元引受人の両方とも、身分証を求める病院もあれば、まったく確認をしない病院もあります。ただし、嘘を書くと私文書偽造に問われる可能性がありますので気をつけてください。

保証人がいないと入院できないの？

では、連帯保証人、身元引受人を受けてくれる人がいない患者さんは入院できないのかというと、そうではありません。医師法第19条第1項には、「診療に従事する医師は、診療治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定められており、厚生労働省の通達においても、連帯保証人等を確保できないことのみを理由に、患者の入院を拒否してはならないとされ、行政指導の対象となるため、現在では拒否する病院はほとんどないと思われます。

保証人がいない場合はどうすればいい？

おひとりさまや高齢者の一人暮らしで、なかなか保証人を見つけることが困難な場合もあると思います。病院側も保証人がいない患者を断ることができない中で、医療費の保証や身元引受人を確保したいので、保証人を見つけることができない患者さんに、連帯保証人と身元引き受けのサービス代行を紹介する病院も多いようです。サービス代行会社と契約した場合、金銭的な保証、本人の意思表示ができない場合の対応、亡くなった場合のご遺体の引き取りなどをしてくれます。このようなサービス代行会社は最近増えており、利用するというのも1つの方法だと思いますが、トラブルにならないために、代行内容はしっかり確認したほうがいいと思います。