『ほがらかSNSライフ』カレー沢薫 最近、SNSが殺伐としていないか?
#90 SNSのコミュニケーション
リアルでもSNSでも、他人とのコミュニケーションにはいつも課題が山積みです。
ネット界には「半年ROMれ」というありがたいお言葉がある。
掲示板などネット交流の場で、空気の読めないコメントやレスを書きこまないように、半年は見学だけにして、ルールや雰囲気を掴んでから参加しろという教えである。
確かにルールには明確に定められたルールと、やっていく内に何となく生まれた「暗黙のルール」が存在する。
会社でも「朝九時までに出社せよ」という社則とは別に「給湯室の二番目の棚にあるキリマンジャロはお局のババアしか飲んではいけない」などの独自のルールが存在するものだ。
つまり「知るかボケ」なのだが、そういう勝手に生まれた何の権限もないルールであろうと、知らなければ「空気が読めない」「わかってない奴」扱いされてしまうのが、社会というものであり、それはネット上でも同様なのだ。
だが、社則には「キリマンジャロ飲むべからず」とは書かれていない。
よって、入社したらいきなり冷蔵を開けるような真似はせず、まさに会社を半年ROMって「そういやあのキリマンジャロ誰も手を出してないな」と、そこに存在する暗黙のルールに気付いていくしかないのだ。
もちろん、ツイッターも半年ROMってからやるべきというわけではない。
SNSは公共スペースというより、ガラス張りの自分の部屋みたいなものなので、よほど公序良俗に反することや個人情報などでなければ、そこでどんな独り言を言おうが「空気が読めてない」などと怒られる筋合いはないので、基本的なネットマナーさえ理解していればそこまで困ることはない。。
しかしSNSを使って、他人と交流しようと思ったら、途端にルールが複雑化し、しかも、この人はキリマンジャロを飲んだらバチギレるが、この人はミロを飲むと無言でブロックしてくるなど、人によって採用しているルールが違うのである。
例えば「無言フォローお断り」という人もいる。
無言フォローとは「フォローさせていただきました」と声をかけずにフォローすることである。
それを嫌う人もいれば、フォローしましたと声をかけると「いちいち言わんでええがな」と思う人もいるのだ。
まさに「し、知らねえ~!」というレベルの話になってくるのだが、それを知らないでやってしまうと「何か変な奴に絡まれた」と思われてしまうのである。
よって、SNSではじめて誰かに声をかける時は、それ以前に相手をROMる、つまり様子見することが重要である。
慎重なオタクになると、推しや性癖までもが同じとわかっていながら、フォローしてからリプライを送るまで半年かけたりはするが、そこまで様子見することはない。
少なくとも、プロフィールを確認して、相手が特殊ルール採用していないか確認し、TLを見て、世の中のありとあらゆることに腹を立てているタイプの人ではないか、趣味が同じでもノリが漫研とチアリーダー部ぐらい違ってないかなど、確認して声をかけた方が良い。
「半年ROMれ」は、今後ツールがどれだけ変わっても、他人と初めてコミュニケーションをとる場合には必須の精神なのである。
次回は7月14日更新です。
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