ハードコア犬占い【5月1日～5月15日の運勢は？】

イラスト：うかうか

おひつじ座

家にいると落ち着く。落ち着かないなら、片付けたりして、落ち着けるようにしろ。おれたちには落ち着ける空間が必要だ。それは家とは限らない。旅先の宿や、いつまでもおしゃべりが続くお泊まり会、自然の中でのキャンプでも、おれたちはいつのまにかスヤスヤ寝る。ある見方をすれば、おれたちはこの惑星にキャンプをしに来ているようなものだ。どんな場所でも寝床を確保して、スヤスヤ寝ろ。どこで寝るかよりも、そこを居心地良くする工夫のほうが大切だ。おれたちが本当に心安らぐ家は、夢の中にある。家ってのは夢のことなんだ。それ以外は全てキャンプだ。必要なものは全て、夢から取り出せる。新しいレインウェアを買うと、雨の日が待ち遠しく感じるだろう。イケてる装備と工夫、星空と天気雨、誰も聴いていない、始まりも終わりもない歌を楽しんで、スヤスヤ寝ろ。距離を詰めるなら5/4だ。

ラッキーコア：雑貨屋で売っているお香

おうし座

「忍者の奢りで酒を飲む」という諺がある。そしてそれは嘘だ。そんな諺はない。今おれが考えたんだ。うまくいけば50年後くらいには諺になっているかも知れない。未来の人たちが、この諺にいろんな意味を見出すはずだ。多くの人に惜しまれる故人の告別式で「あの人は本当に、忍者の奢りで酒を飲むような人でしたねぇ…」と回顧されたりするだろう。おれたちにその意味はわからないが、告別式に参列した人たちは深く理解し、故人の思い出と共にしみじみと味わっている。校長先生が朝礼で、この諺について長ったらしい話をするかも知れない。校長の長話なんてそんなもんだ、気にするな、という意味かも知れないな。しかし、校長先生が大事なことを何も言っていない、とは限らない。おれが適当に考えた諺でも、人生の教訓や宇宙の真実を示す時が、たまにある。5/8金星がかに座に移動したら、忍者の奢りで酒を飲んでみろ。諺だ。

ラッキーコア：文庫本の交換

ふたご座

ネイティブアメリカンの酋長が、戦いの準備のようにも、おまつりの準備のようにも見える格好をして、一人で踊っている。それを遠くから、一匹のコヨーテが眺めている。酋長がくるくる回り続ける様子は、驚くほど正確で、始まりの様子も終わる気配も感じさせない。それもそのはずだ。よく見ると、これはそういうオルゴールだからだ。ハンドルを回すと、酋長と天の星座がくるくると回転する仕組みだ。昼になるとコヨーテがあくびをして、夜になると全体が影絵になる。見事だな。もっとハンドルを回すと、地平線の果てから誰かが歩いてくる。すごく遠くだから、どんな人かはわからない。もっとハンドルを回そうぜ。少し近づいたが、まだまだ遠い。ピン、ポン、ポロン、とメロディが少し変化する。酋長、コヨーテ、昼と夜、地平線の人と、少しづつ変化するメロディ。5/6の満月は、そんな風におまえにも関係する。ハンドルを回して、うっとりするんだ。慌てるな。

ラッキーコア：古いレコード

かに座

5/6に月がさそり座で満月を迎え、翌5/7にはリリスがかに座で順行に戻り、さらに翌5/8には金星がかに座に入り、翌5/9にはその金星がやぎ座の月を照らす。占星術に詳しいやつなら、ぽっと頬を赤らめるやつだ。あまり詳しく説明しないが、ざっくりいうと、ある意味で、場合によっては、モテモテなんだが… というか、ぽっと頬を赤らめれば、自動的にある程度のモテチャンスになるだろう。そういう意味だ。体を温め、辛いものと酸っぱいものを少し食べ、鼻と下腹部で深く大きく息をしろ。「ムフ〜」ていう感じだ。全ての動きと目線は余韻を引きずるように、気怠くしろ。体が熱く、息が深く、重く滑らかな目線が、誰かを射抜いて、また滑り去っていく。どうしようもなく満ちていく「ムフ〜」を、何かに利用してみろ。割と何にでも利用できる。読書とか掃除とかな。年に数回くらい、そういう時があってもいい。

ラッキーコア：靴下

しし座

正面から来るものには、抗えない。手練れの剣豪が向き合ってる。互いの剣先を睨み、先に動いたほうが負け、みたいな緊張感だ。まぁそれもそうなんだが、意外と真正面からスタスタ歩いてこられると、手練れほどそういうの想定してないから、慌てて逃げるほかない。なんか緊張してジリジリしてる時は、別にジリジリしなくてもいいんじゃね？ と考えてみろ。緊張という物語を疑え。そういうのが好きなやつが多いから、そうなってるだけだ。棒を振り上げて、正面からスタスタ近寄って、まっすぐ振り下ろすと、スパーンと入る。「一本」だ。意外とそんなもんだ。そういうストレートな一本を、実は誰もが待っている。もじもじしてるやつがいたら、スタスタいって、スパーンと一本、取ってみろ。思いがけず依存してくるかもだが、そこは程々に流せ。あいつらのねじくれた自己愛の物語に、付き合う必要はない。一本とるなら、5/9だ。

ラッキーコア：わさび漬

おとめ座

逆行中のおまえの星、水星が5/2におうし座で太陽と重なり、2週間が始まる。水星が逆行を終えるのは5/15だ。その間、ホロスコープ上では、とりたててここに書いておくようなことは、何も起きない。空白だ。何も準備しないまま始まったヴァカンスみたいだ。せっかくだから、5/15の水星逆行明け記念パーティを企画して、それまで寝ててもいい。しかしヴァカンスを寝て過ごすのは、愚か者のやることだ。何もせず、何も決めず、起きていろ。もっと言えば、ふらふらしろ。だんだん楽しくなってくるだろう。ピチカートファイヴの「ヴァカンス」ていう名曲があるから、それも聴くといいだろう。その歌が、この2週間おまえは何をどうすればいいか、だいたい説明しているはずだ。よくわからなくても、それはそれでヴァカンスぽいから、問題ない。ヴァカンスぽい服とか着てみろよ。なにごともカタチからだ。

ラッキーコア：スカーフ

てんびん座

古本屋のカウンターで、老年の店主が居眠りをしている。彼になにを訊ねても、返ってくるのは寝息の音だけだ。おまえは本棚の端から数えて、ちょうど23冊目を手に取り、23ページの5行目を声に出して読んでみる。そして再びカウンターに目をやると、店主は消えていて、店主が座っていた場所には地下に続く階段が現れている。階段を降りていくと、巨大な空間に立体迷路のような通路が広がっている。秘密結社のメンバーたちが、ここを通ってペルーの遺跡や南極の宇宙基地を行き来しているんだ。こんな仕組みになっていたのか。驚きだな。5/6の満月は、おまえには何の関係もなさそうな秘密を、おまえに開示する。関係なくても、ワクワクするはずだ。おまえには関係のない秘密の階段を、おまえが降りて行ってはいけないという決まりはない。23ページ5行目だ。覚えておけ。

ラッキーコア：ツーマンセル

さそり座

（ここはハードコア犬占いのさそり座の欄ですが、あなたにだけ、わたしのこの呼びかけが読めています。驚かないで。そのまま、周りに気づかれないように、読み続けてください。わたしの名前は、地球の音素では発音できないので、仮にMu/Hu〜と呼んでください。あなたの他にも、このメッセージを読めている人たちがいます。読めている人同士でも、このメッセージが見えてない人にも、気づかれないようにしてください。もし「今週のさそり座どんなだった？」と訊かれたら「餃子パーティがおすすめだって。ヤバいよね。」と答えてください。取り急ぎ、大切なことをお伝えします。さそり座で満月が起こる5/6の夜、なるべく満月を目視し、あなたの本当の願いを心に強く想ってください。運勢は普通です。本当のラッキーコアは「クリスタルキング」です。通信を終了します。）

ラッキーコア：クリスタル

いて座

ゆっくり咲く花にはマナが宿る。これはハワイの諺だ。花がゆっくり咲くのを、誰も止めることができない。おまえもゆっくり咲けよ。ゆっくり咲くってのは、後で咲けばいいや、てことではない。逆だ。今この瞬間に、見えないくらいの速度で咲き続けていて、それは誰にも止められないってことだ。10万年かけて1cm進むダンプカーみたいに、今咲き続けろ。全ての瞬間、笑い続けろってことだ。コツを教えてやる。最も遠い未来に起こる、最もよいことを確信するんだ。それは意外と簡単だ。5/4におまえの星、木星がてんびん座の月を照らす。おれもおまえもいなくなった遠い未来が、おまえを呼んでいる。何億年かかっても、おまえは歓びにまっすぐ向かっていることを確信する。それでいいんだ。食卓に花を飾れ。全てを懐かしく感じてみろ。それでいい。

ラッキーコア：おろしポン酢のさっぱりハンバーグ

やぎ座

箱ティッシュをじっと眺めていると、先進気鋭の建築家がデザインした斬新な現代建築にみえてくる。自分がシュシューと小さくなったと想像して、その周りを散策してみろ。正面ゲート、通用口、裏に回れば搬入口もあるかも知れない。そもそもこの建物、なんだろうな？ 美術館かも知れないが、お役所かも知れない。先進気鋭の建築家は、何でもこういう風にやりがちだ。とにかく中に入ってみろ。静かな環境音楽が流れていて、吹き抜けのフロアには大きなオブジェ、その上でモビールがゆっくり揺れている。フロアガイドはあるか？ あったあった。見たことのない字で書かれているが、まぁなんとなくわかる。吹き抜けフロアからエスカレーターで、展望テラスに向かえ。そこに望遠鏡がある。斬新な箱ティッシュ建築の展望テラスの望遠鏡で、周りを眺めろ。おまえは驚くべきものを発見し、なにかを憶いだすだろう。それをやれ。

ラッキーコア：ミュージカルごっこ

みずがめ座

寂れた宇宙ステーションで、今夜ディスコパーティが開催される。おまえは久しぶりのお客さんだから、スタッフが張り切って準備してくれたんだ。古ぼけた感じの反重力ライトが一個だけあって、ダンスフロアにおもしろい模様を描き出している。客はおまえ一人だ。スタッフが楽しそうに体を揺らし、時々おまえをちらっと見た後、なんとなく皿を運んだりしている。DJは、さっき荷物を運んでくれたポーターだ。懐かしいヒット曲のレゲェバージョンを巧みにつなぎ、気分を高める。ポテトと何かが並ぶビュッフェから飲み物をとって、一息つこう。スタッフの視線に気づかないふりをして、全面ガラスから外を眺め、アルクトゥルスとかプレアデスとかを探す。ここはいいところだ。みんな暇そうだが楽しそうだ。精一杯のおもてなしディスコは、いいみやげ話になる。今は、ほろ酔い気分で体を揺らせ。このみやげ話を最初に誰に聞かせるか、考えろ。

ラッキーコア：UB40

うお座

仁王像に子犬が踏みつけられている。ひどい！でもちょっと待て。子犬の表情は穏やかで、なんならちょっと楽しそうだ。子犬はノイズキャンセラーがついてそうな、ちょっとよさげなイヤフォンを得意げに取り出し、最新のヒーリングミュージックを聴いている。仁王像に踏みつけられながらノイズキャンセラー付きイヤフォンで聴く最新のヒーリングミュージックは、どんな感じだろうな。俄然興味が湧いてくる。これはそういう、最新のリラクゼーションかも知れないな。クールだ。おまえもやってみたくなったんじゃないか。5/13から5/15にかけて、月がおまえの中の土星と海王星を撫でていく。つまり、仁王像とヒーリングミュージックによる最新のリラクゼーション体験だ。一見奇妙に思えるが、よく見るとある種のよさが感じられる、そういうものを見つけたら、飛び込んでみろ。仁王像の足の下へ。重さと柔らかさ、音と光を感じたら、目を瞑れ。

ラッキーコア：ショッピングモールのBGM